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はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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中国関係

杭州便りその13

山歩き

部屋に引きこもっているとどうしても運動不足になってしまうので、散歩を日課にしています。特に最近は、「山歩き」がマイブームになってます。西湖の北側に小高い山があり、我が縄張りの浙江大学西渓校区はそのさらに北側にあります。H木名誉教授やM谷先生からは「こんなのは山じゃない!」と怒られそうな小さな山なのですが、けっこう色々なルートがあり、色々な見所があります。日本人の感覚では完全に一つの山なのですが、地図を見ると、宝石山とか挂牌山とか呼び分けているようです。今回はまず西側ルート(挂牌山付近)の様子を紹介したいと思います。

黄龍洞もしくは「縁」

ダンス・ダンス・ダンス

この日は、黄龍洞から山に入りました。黄龍洞は仏教とも道教ともゆかりのある洞窟ですが、最近では「縁」を主題にしたテーマパークになっています。「新西湖十景」の一つであり、いつも大勢の人でにぎわっています。黄龍洞テーマパーク自体には入場料が必要なこともあり、96年に家族で来て以来、足を踏み入れてません(一回見ればいいやという感じの場所でしたし)。その脇を通り、岳廟へと抜けるルートがあるので、「縁」と彫られた石の前で集団でダンスに興じる人々を横目にして、山へと足を踏み入れました。

紫雲洞

紫雲洞・観音殿

しばらく歩くと、「紫雲洞」がありました。単なる洞窟かと思って前回はスルーしましたが、今回見てみると、人がたくさんいてびっくりしました。観音様をお祀りしているんですね。この付近には似たような「洞」がいくつかあるのですが、ここが一番賑わっていました。一番「ご利益」があるということなのでしょうか。洞窟あるいは大きな石の少しくぼんだ部分に神様・仏様を祀っている様子は、今の中国でもしばしば目にします。「現世利益を求めているだけだ」「アニミズムだ」「偶像崇拝だ」と批判・否定することは簡単でしょうが、その熱心さには胸を打たれるところがあります。「これは仏教なのか、道教なのか?」という議論も、この熱心さの前にはほとんど無意味な気がします。

在家孝敬父母、夫婦和睦

如意洞

さらにしばらく行くと、「如意洞」がありました。ここにも、石に彫られた仏様が祀られてましたが、私の他に誰もおりません。どうして人気がないのか、紫雲洞にはあった茶室がこちらには無いからなのか、紫雲洞よりも高い位置にあってかなり登らないといけないからなのか、色々と考えましたが、よく分かりません。ここには興味深い表示があって、そこには「仏祖の面前にお金を投げてはいけません。ただ真心をこめて仏を拝むだけで、父母に孝行を尽くし、夫婦は和睦となります。」と書いてありました。うーん、今度は儒教かあ。見事なまでに「三教(儒仏道)一致」の宗教空間です。   ここを抜けたら(すごく急な石段を下りたら)、岳廟(宋代の英雄・岳飛を祀った廟)まですぐです。この後、西湖の孤山公園・白堤を抜け、湖畔のレストランで昼食を取り、平地を歩いて帰りました。全行程3時間ほどでけっこう体にこたえました。我が恩師は、80歳を過ぎてなお毎日3時間は散歩しておられるとのことで、とてもその境地には到達できそうもありませんが、これからも細々と散歩・山歩きは続けていきたいと思います。

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