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はやさか としひろ

早坂 俊廣

哲学・芸術論 教授

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哲学関係

愛する人を所有するということ

嗚呼、愛って何でこんなに哀しく切ないものなのだろう・・・

そんなことをちらっとでも感じたことのある人(自慢じゃないが、大学生のころの私は、毎日のようにそう感じていた)は、ぜひ浅見克彦著『愛する人を 所有するということ』(青弓社)を読んでもらいたい。著者は言う、「恋愛は、一つの罪を背負っている。所有という罪を。」と―少なくとも私は、この論断に 反論する術を持たない。

著者によれば、愛の哀しみとは、「愛する自我が、一方で同一性と自存生を融解させる他者との相互作用に吸いこまれると同時に、他方で自由な主観とし て同一性と自存性の維持を追及せずにはいられない、分裂した二つの傾向をもつ」「自我の哀しみ」であり、愛は、その始まりから挫折を運命付けられているの だ。

嗚呼、やっぱり愛って哀しく切ないものだったんだ・・・

だが、著者は言う、「ここでお互いが、挫折を運命づけられた自存性追求の試みに閉じこもることなく、愛の不可能性に帰結するしかない相互関係を、互 いの存在に起因するものとして引きうけ、みずからの事実存在を価値づけてくれる相手の求めに責任をもとうとする関係には、一つの価値があるのではないだろ うか」と。思うに、この箇所が本書のもっとも秀逸な部分であるとともに、「ここのところをもっと本格的に論じてほしかった」と感じさせる、もっとも遺憾な 部分でもある。

特に「基礎人」の学生さん、読んだら感想聞かせてください。

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