受験生・1年生のみなさんへ

1年生のみなさんへ2013(日本文学分野)

◎はじめに

 1年生のみなさん、こんにちは。日本文学専攻の石原・田原・秋山です。今年も専攻決めの季節がやってきましたね。不安に感じている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、私たち日本文学専攻に関する、みなさんからの疑問・質問にお答えしたいと思います。これを読み終わる頃には、あなたもきっと日文に来たくなるはずです!!

3つのゼミ

Q.それぞれのゼミの内容について教えてください。 A.日本文学専攻には3人の先生方がおられ、それぞれの先生のゼミがあります。 ○渡邉匡一ゼミ  このゼミでは、中世の仏教説話集を扱います。前期では、隔年で『今昔物語集』と『宇治拾遺物語』を扱います。今年は『今昔物語』を扱っているので、来年は『宇治拾遺物語』を扱います。自分で考察したい1話を選び、古典文学全集や辞書、研究論文を参考にしつつ、自分で語釈をつけ、各自好きなテーマで考察します。今まで扱われたテーマは鬼・妖怪、天皇、歴史に名を残した著名な人物、和歌など様々で、興味があることならば何でも挑戦出来ます。このゼミでは先輩が指導につき、色んな資料を使って調べる方法や、発表の仕方などを優しく指導してくれ、研究の基礎が学べます。初めて古典に興味を持った人でも、楽しく発表が出来ます!  後期は、前期に学んだことの応用編になります。今までは福島県いわき市如来寺で発見された『三語集』や長野県諏訪市仏法寺で発見された『沙石集』を扱いました。今年は寺社の縁起が書かれている『南北二京霊地集』という本を扱っています。担当した話を翻字し、語釈をつけ、訳して考察していきます。知らない言葉に自分の力で辞書などを駆使しながら語釈をつけたり、話をわかりやすく訳したりと発表までの準備は大変ですが、やりがいは大きいです。  匡一先生のゼミでは、自分で勉強すればするほど、面白くなっていきます。勉強は遊びです。物語や昔話が好きな人はぜひ来てみてください。 ○松本和也ゼミ  松本先生のゼミでは、主に近・現代の日本文学を扱います。また、それらの文学作品の背景となる時代や舞台にも言及して理解を深めていきます。ゼミでは前期・後期とも二度ずつの発表を行っています。  今年度の前期では、前半で『BUNGO』という多彩な作家の作品を集めた作品集から各自1作品を選択し、内容把握を中心にしたレポートの企画書を制作し、発表を行いました。後半では明治末~大正時代の雑誌『白樺』第5巻内に所収された作品から各自1作品を選択し、先行研究の整理や研究展望の発表を行い、最終的に1本のレポートにまとめました。  後期では、前半は『風立ちぬ』というテキストを用いて、グループディスカッションを行いました。その後、質疑応答を受け、レポートを作成しました。後半では森鴎外「魔睡」、北杜夫「夜と霧の隅で」のどちらか一方の作品を選択し、まず作品ごとに先行研究をまとめ、発表を行いました。その後個人でテーマを設け、発表にむけて準備を進めていきます。発表後は発表内容をレポートにまとめますが、それに先立って先生が個別指導をしてくださいます。また、後期には4年生の卒業論文中間発表や3年生の卒業論文計画発表もあります。  どの発表においても先行研究の整理、そしてそれを踏まえた上でオリジナルの新しい課題や解釈を提示することが求められます。発表回数が多く準備が大変なこともありますが、発表の数だけ作品への新しいアプローチの方法や研究の手法を知る機会があります。 ○速水香織ゼミ  速水先生のゼミでは、主に近世に成立した浮世草子・俳諧をとりあげます。今年度は、松尾芭蕉の紀行集で『おくの細道』をとりあげ、本文の翻字と確定・注釈・発句の解釈から問題点を見つけ出し、各自の視点からの考察を行いました。近世文学は、上代以来の重層的な厚みを持った古典の上に成り立っているため、作品を考えるにあたっては、先行する古典作品への理解と十分な知識とが不可欠になります。そのため、とりあげるテキストにとどまらず様々な時代、分野の作品に幅広く触れる必要があります。大変な作業ですが、ひとつの作品の文章にどれほど古典作品が影響しているか、調べるほどに面白くなってゆきます!  なお、速水先生は、2013年10月1日から信州大に着任されたため、前期の授業は来年度が初めてになります。しかし、くずし字の読み方など、基礎的なところから始めてくれるそうです。  全集や文庫に載っている注釈は本当に妥当なのか、自らの手で検討していくうえで、多面的な解釈ができるようになり、読みが深まってゆきます。授業では先生の解説や議論も多く、有意義に楽しく進めてゆけます!

調査・イベント・卒論ほか

Q.日文でやっている調査って、どういうことをやるんですか? A.主に蔵書調査を行います。日文でやる調査には以下のようなものがあります。 ・仏法寺調査  ほぼ毎月行っているもので、匡一先生を中心に、土日に諏訪へ行って仏法紹隆寺の蔵書調査をします。蔵書は様々で、きっと今までに見たことがないものを見られるという貴重な体験ができます。並行して、諏訪の善光寺の蔵書調査もしています。土曜日の夜は、みんなで飲み会です。先生の美味しい手料理がいただけますよ♪ ・御嶽神社調査  王滝村の御嶽神社で年3回ほど行います。日本史専攻の山本先生、匡一先生が中心となって行っています。 ・旧制高校調査 旧制松本高校は、信州大学の前進となった学校です。現在あがたの森にある旧制高等学校記念館に保管されている思誠寮日誌などを調査の対象としています。今年の3月~5月には、旧制高校記念館で、調査から明らかになったことを元にした展示を行いました。大正・昭和期の学生生活が見る事が出来て、新しい発見がありますよ。 ・石井鶴三資料調査  信州大学が寄贈を受け、付属図書館を中心に整理を進めている石井鶴三関連資料のうち、書簡の整理を中心に行っています。文学史ではあまり注目されてこなかった挿絵(画家)を通じて、作家・編集者との具体的なやりとりなど、興味深い事実が浮かび上がってきます。  このような調査をみんなでワイワイ楽しんでやっています。 Q.日文の資料室はどこにあるんですか? A.日文資料室は、人文棟3階の一番奥にあります。日文の本拠地とも言えるこの場所で、学生たちは様々な資料を使って勉強したり、おしゃべりしながら息抜きをしたりします。専攻の件で相談があれば、気軽に足を運んでみてください。 Q.日文のイベントについて教えてください! A.とっっっても楽しいイベントが盛りだくさんです☆主な行事を順番に紹介していきます♪ ・新歓  4月には、日文に新しく入ってきた2年生のために、新入生歓迎会が開かれます。ここで2年生は、専攻の先輩達や先生方と交流を深め、日文の雰囲気をつかみます。先輩や先生と仲良くなれるとともに、勉強についてわからない事や不安などを解消できる良い機会です。 ・匡一先生ゼミ旅行  今年は、奈良へ行ってきました。去年の前期の授業で用いた、『南北二京霊地集』縁の地をまわりました。『南北二京霊地集』とは、江戸時代前期の浄土宗の学僧である、袋中が書いたものです。念仏寺という、袋中が草創した寺院に集合し、その後二泊三日で、興福寺、春日大社、法隆寺、矢田寺、唐招提寺、西大寺など、さまざまな寺院・神社をまわりました。また、それぞれの場所では、勉強になるようなお話もお聞きすることができました。奈良の町並みなど、地域独特の文化も味わうことができ、楽しみながらもきちんと学べる、そんなお得なゼミ旅行です。 ・松本先生ゼミ旅行  今年は一泊二日で金沢へ行き、四年生の卒論中間報告会や石川四校記念文化交流館の見学をする合宿を行いました。石川近代文学館には、泉鏡花や徳田秋聲などのコレクションが詳しい解説とともに展示されており、石川県ゆかりの文学者についてより詳しく知ることができました。また、金沢ということで、金沢城公園・兼六園や、金沢二十一世紀美術館の見学もしました。卒論中間報告会では長時間にわたって真剣な討論がされますが、報告会後は温泉に入ったり飲み会が行われたりと、楽しく和やかな雰囲気で過ごすことができ、とても有意義で楽しいゼミ旅行です。 ・追いコン  新歓に並ぶ日文最大の飲み会である追いコンは、2月にある卒論発表会の後に行われます。2,3年生からは、4年生へ寄書きが、4年生からは、先生方へ花束が贈られ、互いに別れを惜しみます。先生方のありがたいお話を聞きおさめつつ、二次会までひたすら飲み尽くします。  以上が主な日文イベントです。どれも楽しいものばかりですよ♪ Q.日本文学分野で取れる資格にはどんなものがあるんですか? A.日本文学分野では、教職、博物館学芸員などの資格を取ることが可能です。特に国語科の教員資格取得に必要な科目が、日文の選択科目に多く含まれるので、比較的国語科の資格が取りやすくなっています。その他に、教職科目、学芸員に関する科目がそれぞれに必要になってくるので、夏休みに集中講義やレポートが入り込んできます。頑張りましょう!! Q.卒論題目には今までにどのようなものがあったんですか? A.卒論のテーマは、日本語での表現に関するものであれば、古典文学から始まり、作家や作品、新聞やテレビなどのメディア、漫画やゲームまで、何を扱っても構いません。自分自身が興味と問題意識を持って取り組めることが重要です。過去の卒論題目については、日本文学分野公式ホームページに掲載されています。 Q.卒業された先輩方はどのようなところに就職されているんですか? A.就職活動準備は、3年の秋から大体みんな始めます。先輩方の就職先としては、デザイン会社・問屋・地方銀行員・販売員・公務員と多種多様に挙げられ、また大学院に進学するという進路を取られる先輩方もおられます。また、教職(国語)を取られ教師になられる先輩方もおられます。基本的に日文は就職に関しては自由であると同時に、個人の努力次第というところが強いでしょう。

◎おわりに

 いかがでしたでしょうか?私たちの専攻について少しは知ってもらえたと思います。このように楽しいイベントが盛りだくさんの日文ですが、ゼミはとても厳しく、大変です。発表前には、図書館や資料室にこもりきりになるということが多々あります。それゆえに、本当に日本文学が好きで、研究に興味がある人に来てもらいたいと思っています。  最後に少し厳しいことを書きましたが、勉強が大変な分、得られることも本当に多いと思います。たくさんの仲間たちと充実した大学生活が送れることを、私たちが保証します!!みなさん、ぜひ日本文学に来て、一緒に楽しい日文ライフを送りましょう♪質問があったら、気軽に資料室に来てください。

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