Q&A

1年生のみなさんへ2011(日本文学分野)

[1.ゼミの紹介]

◎はじめに  1年生のみなさん、こんにちは。日本文学分野3年の松本・宮村です。今年も分野決めの季節がやってきましたね。不安に感じている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、私たち日本文学分野に関する、みなさんからの疑問・質問にお答えしたいと思います。これを読み終わる頃には、あなたもきっと日文に来たくなるはずです! Q.それぞれのゼミの内容について教えてください。 A.日本文学専攻には3人の先生方がおられ、それぞれの先生のゼミがあります。 ○渡邊秀夫ゼミ  前期のゼミでは、変体仮名を読む練習を行います。変体仮名を読めるようにすると共に、平安時代の文化背景の理解を深める事が中心となります。また、漢文・漢詩といった漢籍を読む事もあります。毎週配られた課題を読み、授業で読み合わせをしていきます。初めは全然読めなくても、回数を重ねることで、自然と慣れて読めるようになります。読めるようになるとますます楽しくなりますよ!  後期は一つの文学作品を取り上げ、それについて自分たちなりにテーマを設定し、発表を行います。今年は北村季吟の『教端抄』をテキストとして扱っています。『教端抄』は古今和歌集の注釈書です。前期学んだことを活かして、翻字することから始め、自分なりにテーマを設定し、発表へ向けて準備をしていきます。古今和歌集の和歌の配列に注目してみたり、歌ことばに注目してみたり、いろいろなことに目を向けてみることでさらに理解を深め、興味の幅を広げることができます。これまでにゼミで扱った作品は、『土佐日記』、『枕草子』、『百人一首拾穂抄』、『源氏物語』等です。  一度は名前を聞いたことがある作品でも、各々テーマを設定し考察していくことで、それまで知らなかったことを発見し、理解を深めていくことができます。テーマによっては、他の文学作品や漢籍を扱うこともあります。自分が知りたい、調べたいと思ったことをじっくり調べ、考えることができます。やりがいはもちろん、楽しんで取り組むことができるゼミです。 ○渡邉匡一ゼミ  このゼミでは、中世の仏教説話集を扱います。前期は、隔年で『今昔物語集』と『宇治拾遺物語』を扱います。今年は『今昔物語集』を扱っているので、来年は『宇治拾遺物語』を扱います。自分で考察したい1話を選び、古典文学全集や辞書、研究論文を参考にしつつ、自分で語釈をつけ、各自好きなテーマで考察します。今まで扱われたテーマは鬼・妖怪、天皇、歴史に名を残した著名な人物、和歌など様々で、興味があることならば何でも挑戦出来ます。このゼミでは先輩が指導につき、色んな資料を使って調べる方法や、発表の仕方などを優しく指導してくれ、研究の基礎がしっかり学べます。初めて古典に興味を持った人でも、楽しく発表が出来ますよ!  後期は、前期に学んだことの応用編になります。一昨年までは長野県諏訪市仏法寺で発見された『三語集』を、昨年は同じく『沙石集』を扱いました。一人一話を担当し、写本の翻字から始め、語釈をつけ、訳して考察をしていきます。慣れないくずし字を読んだり、知らない言葉に自分の力で辞書などを駆使しながら語釈をつけたり、話をわかりやすく訳したりと発表までの準備は大変ですが、やりがいは大きいです。  匡一先生のゼミでは、自分で勉強すればするほど、面白くなっていきます。勉強は遊びです。物語や昔話が好きな人はぜひ来てみてください。 ○松本和也ゼミ  松本先生のゼミでは、主に近・現代の日本文学を扱います。また、それらの文学作品の背景となる時代や舞台にも言及して理解を深めていきます。ゼミでは前期・後期とも二度ずつの発表を行っています。(扱う作品は年度ごとに変わります。)  23年度の前期では、前半で『果実』という短編集を扱いました。太宰治「桜桃」、芥川龍之介「蜜柑」、梶井基次郎「檸檬」などから各自1作品を選択し、問題設定をして研究の展望を発表します。後半では明治時代の雑誌『白樺』第3巻内に所収された作品、または明治45年・大正元年に発表された作品から各自1作品を選択し、研究展望の発表を行って最終的に1本のレポートにまとめました。  後期では、前半で夏目漱石の『三四郎』についてグループごとに疑問点を挙げ、その疑問点に対して他のグループが解答を示すという質疑応答形式の発表を行いました。後半では小島信夫「馬」または真山青果「南小泉村」のどちらかを選択して、作品ごとに先行研究の批判的検討を行いました。その後選択した作品の個人発表をします。この発表の内容をレポートにまとめますが、それに先立って先生が個人指導をして下さいます。また、後期には4年生の卒業論文中間発表や3年生の卒業論文計画発表もあります。  どの発表においても先行研究の整理、そしてそれを踏まえた上でオリジナルの新しい課題や解釈を提示することが求められます。発表回数が多く準備が大変なこともありますが、発表の数だけ作品への新しいアプローチの方法や研究の手法を知る機会があります。

[2.さまざまな調査]

Q.日文でやっている調査って、どういうことをやるんですか? A.主に蔵書調査を行います。日文でやる調査には以下のようなものがあります。 ・仏法寺調査  ほぼ毎月行っているもので、匡一先生を中心に、土日に諏訪へ行って仏法紹隆寺の蔵書調査をします。蔵書は様々で、きっと今までに見たことがないものを見られるという貴重な体験ができます。土曜日の夜は、みんなで飲み会です。先生の美味しい手料理がいただけますよ♪ ・御嶽神社調査  王滝村の御嶽神社で年3回ほど行います。日本史専攻の山本先生、匡一先生が中心となって行っています。 ・高美書店調査  匡一先生、早稲田大学の和田先生が中心となって行っている調査です。松本市にある高美書店の、主に明治期以降の書店史料(手紙、台帳など)を対象にして目録の作成を行います。当時の書店の運営の様子を見ることが出来て面白いです。 ・旧制高校調査  旧制松本高校は、信州大学の前進となった学校です。現在あがたの森にある旧制高等学校記念館に保管されている思誠寮日誌などを調査の対象としています。今年3月には、旧制高校記念館で、調査から明らかになったことを元にした企画展を行いました。来年3月~5月に企画展を行う予定です。大正・昭和期の学生生活が見る事が出来て、新しい発見がありますよ。 ・石井鶴三資料整理  信州大学が寄贈を受け、附属図書館を中心に整理を進めている石井鶴三関連資料のうち、書簡の整理を中心に行っています。文学史ではあまり注目されてこなかった挿絵(画家)を通じて、作家・編集者との具体的なやりとりなど、興味深い事実が浮かび上がってきます。  このような調査をみんなでワイワイ楽しんでやっています。

[3.日文のイベント]

Q.日文のイベントについて教えてください! A.とっっっても楽しいイベントが盛りだくさんです☆主な行事を順番に紹介していきます♪ ・新歓  4月には、日文に新しく入ってきた2年生のために、新入生歓迎会が開かれます。ここで2年生は、専攻の先輩達や先生方と交流を深め、日文の雰囲気をつかみます。先輩や先生と仲良くなれるとともに、勉強についてわからない事や不安などを解消できる良い機会です。 ・秀夫先生ゼミ旅行(乗鞍) 一泊二日で乗鞍へ出かけます。乗鞍の清々しい空気の中、散歩に出かけ、ペンションの温泉を楽しみ、美味しいフランス料理をいただくことが出来ます。散歩では有名な滝を見に行きます。美しい自然と雄大な滝に癒されます。夜にはみんなで花火をしたり、飲み会をしたりします。 飲み会では先生や学生のみんなと楽しく語り合うこともできます。乗鞍の夜空はとっても綺麗でロマンチックですよ♪心身ともにリフレッシュできるゼミ旅行です。 ・匡一先生ゼミ旅行 今年は「京都悪所ツアー」と題し、前期の演習で扱う『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』などに書かれた、京都の霊や鬼、妖怪などが現れた場所"悪所"を回りました。初日は、弁慶と牛若丸が出会ったとされる五条天神社に集合し、昔の五条大路(今の松原通り)を西へ、京都最大の悪所の河原院でやはり豪雨に見舞われ、鴨川を渡り昔の埋葬地の鳥辺野へ。六道珍皇寺で実物の曼荼羅を見せて頂きました。二日目は、北野天満宮に集合し成績向上を祈願、千本閻魔堂で閻魔様を拝み、平安京鎮護の賀茂神社、国に祟る御霊を祭る御霊神社へ参り、安部清明神社の賑わいに揉まれ、夜は伏見のお酒で盛り上がりました。三日目は、平安京の鬼門を護る比叡山延暦寺へ登り圧倒されました。  合宿のタイトルが悪いのか、天気は常に不穏でしたが、知的に遊ぶ貴重な体験となりました。 ・松本先生ゼミ旅行  今年は一泊二日で別所温泉に宿泊し、4年生の卒論中間報告会や文学館等の見学をするゼミ合宿をしました。卒論中間報告会では真剣な討論がされますが、夜は温泉に入ったり談笑したりと和やかな雰囲気で過ごしました。翌日は上田城跡公園内にある上田市立博物館と山本鼎記念館で絵画や版画などの作品を鑑賞しました。普段授業では取り上げられることが少ない絵画などの芸術作品に触れられるのもゼミ旅行の楽しみの一つです。そのあと池波正太郎真田太平記館とEditor's Museum「小宮山量平の編集室」を見学し、作家の視点から、また編集者の視点から文学について考えました。信州の文化・文学への理解を深められる充実したゼミ旅行でした。 ・沖縄旅行  隔年の2月中旬、ゼミ旅行として沖縄へ。三泊四日、昼は、沖縄中をひたすら車で巡り続け、夜は、沖縄料理に舌鼓。御嶽数カ所(※御嶽(うたき)・・・神が降りてくるといわれている、神聖な場所。)、源実朝の石碑、今帰仁城、首里城、久高島、辺野古米軍基地周辺(基地移転反対運動座り込み)、ひめゆりの塔、沖縄県博物館など、普通の観光旅行では行けない場所にたくさん行きます。しかも匡一先生の詳しい解説付き!ちゃんと勉強もしているんです。楽しいだけじゃありません。 ※2月に行くので、青い海や空が見られるかは運次第。昼食はソーキそば率が高いです。 ・追いコン  新歓に並ぶ日文最大の飲み会である追いコンは、2月にある卒論発表会の後に行われます。2,3年生からは、4年生へ思い出満載のアルバムが、4年生からは、先生方へ花束が贈られ、互いに別れを惜しみます。秀夫先生のありがたいお話を聞きおさめつつ、二次会まで楽しくみんなでお酒を飲みます。 以上が主な日文イベントです。どれも楽しいものばかりですよ♪

[4.その他]

Q.日文の資料室はどこにあるんですか? A.日文資料室は、人文棟3階の一番奥にあります。日文の本拠地とも言えるこの場所で、学生たちは様々な資料を使って勉強したり、おしゃべりしながら息抜きをしたりします。専攻の件で相談があれば、気軽に足を運んでみてください。 Q.日本文学分野で取れる資格にはどんなものがあるんですか? A.日本文学分野では、教職、博物館学芸員などの資格を取ることが可能です。特に国語科の教員資格取得に必要な科目が、日文の選択科目に多く含まれるので、比較的国語科の資格が取りやすくなっています。その他に、教職科目、学芸員に関する科目がそれぞれに必要になってくるので、夏休みに集中講義やレポートが入り込んできます。頑張りましょう! Q.卒論題目には今までにどのようなものがあったんですか? A.卒論のテーマは、日本語で表現されるものであれば、古典文学から始まり、作家や作品、新聞やテレビなどのメディア、漫画やゲームまで、何を扱っても構いません。自分自身が興味と問題意識を持って取り組めることが重要です。過去の卒論題目については日本文学分野のホームページに掲載されています。 Q.卒業された先輩方はどのようなところに就職されているんですか? A.就職活動準備は、3年の秋頃から大体みんな始めます。就職先は、出版社・印刷会社・デザイン会社・地方銀行・公務員と多種多様で、大学院に進学する方もいらっしゃいます。また、教師になる方も少なくありません。基本的に日文は就職に関しては自由であると同時に、個人の努力次第というところが強いでしょう。 ◎おわりに  いかがでしたでしょうか?私たちの分野について少しは知ってもらえたと思います。このように楽しいイベントが盛りだくさんの日文ですが、ゼミはとても厳しく、発表前は特に大変です。最後に少し厳しいことを書きましたが、勉強が大変な分、得られることも本当に多いと思います。それゆえに、本当に日本文学が好きで、研究に興味がある人に来てもらいたいと思っています。たくさんの仲間たちと充実した大学生活が送れることを、私たちが保証します!みなさん、ぜひ日本文学に来て、一緒に楽しい日文ライフを送りましょう♪質問があったら、気軽に資料室に来てください。

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