Instagram
Facebook

【木の産業づくり】 ドローンによる高精度なオルソ画像とAI林相区分の検証と所有者別の森林資源量の成果を森林地籍調査「木曽モデル」に ~森林境界明確化から地籍調査へ期間短縮と経費削減~

研究

図-1 森林境界明確化の成果を地籍調査に活用
図-1 森林境界明確化の成果を地籍調査に活用

信州大学は、木曽町および信州大学発スタートアップ企業「精密林業計測株式会社」と連携し、ドローンとAI技術を用いた森林地籍調査「木曽モデル」を構築・実証します。
この取り組みは、森林境界明確化と地籍調査を同時に情報共有・連携して実施する全国初のモデルであり、調査期間の1年半短縮と事業費の削減を見込んでいます。

背景と目的
 木曽町は面積の約90%を山林が占める地域で、「木の産業づくり」に取り組んでいます。森林資源の持続的活用には、森林の地籍整備が不可欠ですが、現状では公図と森林簿(森林計画図)の不整合や、権利関係の複雑さ、急峻な地形などが課題となっています。こうした状況は全国の中山間地域でも共通しており、地籍調査の効率化が求められています。この課題解決に向けて、林野庁が令和7年4月に公表した「航測法による森林境界の明確化事業実施のマニュアル」では、森林境界明確化の成果を地籍調査へ活用するマニュアル等が整備されています(図-1 出典「航測法による森林境界の明確化事業実施のマニュアル」)。
 信州大学は、ドローンによる高精度オルソ画像の生成技術と、AIによる林相区分の特許技術を活用し、森林の境界線を高精度で"見える化"します。これにより、現地確認や測量の効率化を図り、森林境界明確化の成果をそのまま地籍調査に活用できるモデルを提示し、全国の中山間地域における課題解決への展開を目指します。

実証概要
〇事業名:森林地籍調査「木曽モデル」実証事業
〇対象地域:長野県木曽町の民有林 約80ha
〇実施体制:木曽町、信州大学、精密林業計測株式会社(信州大学発ベンチャー)

特徴
〇ドローン+AIによる特許技術で高精度オルソ画像と林相データを生成
〇森林境界明確化と地籍調査を一体的に実施(全国初)
〇期間短縮(1年半)・事業費削減を実現
〇森林情報と境界情報の同時取得で森林整備が推進
〇今後の【木の産業づくり】に関わる新たな地域雇用の創出

本事業は、林野庁の「森林の集約化モデル地域実証事業(令和7年度)」に木曽町が長野県を通じて応募し、採択されています。
(参考:事業詳細 https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/yosankesan/attach/pdf/R7kettei-4.pdf


☆信州大学発スタートアップ認定企業「精密林業計測株式会社」(代表取締役:加藤正人 信州大学農学部特任教授)の紹介
 主な取組内容は以下のとおりです。
 ・精密林業計測は、信州大学が保有するスマート林業の特許技術を活用して自治体・企業・林業事業体で事業展開しています。
 ・ドローンとAIによる針葉樹と広葉樹の単木情報解析
 ・AI林相区分図による森林境界明確化、松くい虫被害木と感染木の抽出
 ・境界明確化ツール「森の案内人フォーパス」 フィンランド企業との国際共同開発

« 前の記事へ

お知らせ一覧にもどる

a