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遠藤勝紀さん(博士課程2年),田中沙智准教授,真壁秀文教授,梅澤公二助教の共同研究においてガレート型プロシアニジンに関する新たな論文が薬理学の国際誌「International Immunopharmacology」にて受理・公開されました

研究

遠藤勝紀さん(博士課程2年,食品免疫機能学研究室),田中沙智准教授(食品免疫機能学研究室),真壁秀文教授(天然物合成化学研究室),梅澤公二助教(機能分子設計学研究室)の共同研究において,ガレート型プロシアニジンに関する新たな論文が,薬理学の国際誌「International Immunopharmacology」にて受理・公開されました。

今回の論文では,ポリフェノールの一種であるガレート型プロシアニジン(PCB2DG)が,免疫細胞の一つであるT細胞の過剰な活性化を抑制するメカニズムや標的分子を明らかにしました。
T細胞は外部からの刺激によりグルタミンの細胞内濃度が上昇することでサイトカインの産生が亢進することが知られています。そこで,PCB2DGの存在下でT細胞を刺激したところ,細胞内グルタミン量が刺激したT細胞と比べて有意に低下し,その量は無刺激のT細胞と同程度でした。
PCB2DGのサイトカイン抑制効果はグルタミンの添加で阻害されたことから,PCB2DGとグルタミンが競合関係にあると考えられました。また,グルタミンを細胞内に輸送する膜タンパク質であるASCT2の発現量がPCB2DGの添加で変化しなかったことから,PCB2DGがASCT2と結合することでグルタミンの取り込みを阻害すると予想しました。
そこで,PCB2DGとASCT2の結合をin silico解析したところ,PCB2DGがASCT2のアロステリックサイトと水素結合を形成することが示されました。よって,PCB2DGがASCT2に結合することでASCT2の立体構造を変化させ,グルタミンの取り込みを抑制することが考えられました。
これらの結果から,PCB2DGは活性化T細胞のASCT2に結合することで,グルタミン取り込みの抑制を介してサイトカインの産生を抑制することが示唆されました。ポリフェノールは化学構造の違いによって様々な種類が存在し,抗酸化作用だけではなく多様な生理活性を有し,健康寿命の延伸に役立つ物質として期待されています。今回の結果はPCB2DGが免疫関連疾患を改善させる機能性成分であることを示唆しています。

詳細は以下をご覧ください。

論文タイトル:Procyanidin B2 3,3″-di-O-gallate suppresses IFN-γ production in murine CD4+ T cells through the regulation of glutamine influx via direct interaction with ASCT2

著者:Katsunori Endo, Toko Sawa, Hidemitsu Kitamura, Koji Umezawa, Hidefumi Makabe, Sachi Tanaka

URL:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36566519/

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