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「国内初」ドローンとAIによるクマ剥ぎ被害木の自動抽出 -被害調査の省力化-

研究

ドローンで上空からの空撮画像。林道から奥に被害木が多いことがわかる(北信森林管理署提供)
ドローンで上空からの空撮画像。林道から奥に被害木が多いことがわかる(北信森林管理署提供)
新技術の公開に約40名の現場技術者が参加
新技術の公開に約40名の現場技術者が参加

信州大学学術研究院(農学系)加藤正人教授の研究室は、「国内初」となるドローンでクマ剥ぎ被害を受けたスギ人工林の全域を空撮し、撮影した画像からAIによる被害木の特定と剝皮率を導出するための技術開発に成功しました。また、11月10日には現地検討会を行い、信州大学と連携協定を結ぶ中部森林管理局の北信森林管理署信濃町黒姫山国有林のスギ人工林で技術を公開しました。

森林管理署や森林組合では、保育管理を行ってきたスギ人工林が間伐や主伐時期を迎える一方で、冬眠明けのツキノワグマによる剥皮被害が増加傾向にあります。今後の被害対策を講じるためにもその実態を把握しなければなりません。すべてのスギ林において、被害木の本数や枯死率の確認だけではなく、被害木に対するロープ巻きや防護柵の設置などの被害対策は、過大な労力を要するだけではなく、クマと遭遇する危険もあり、現場の負担が増しています。さらに、限られた職員で対応しなければならず、被害木の見落としが生じる可能性も指摘されています。

 開発した技術は、こうした林業現場の課題解決に向けた省力化技術です。林道から被害木を確認した人工林を、ドローンの空撮画像から独自のAIプログラムにより葉が枯れて色がくすんだ緑や赤茶に変化する被害木の特徴から解析し、被害木の特定と剝皮率をモニター上で確認できます。
 こうしたシステムは国内で初めてで、林業に従事する人が年々減少する中、大幅な省力化につながることが期待できます。

開発したクマ剥ぎ被害木の自動抽出技術は、マツ枯れ被害木やナラ枯れ被害木の自動抽出にも応用可能であり、今後AIの学習を深めることで精度向上と全国展開を進めることを目指しています。

プレスリリース内容

「国内初」 ドローンによるクマ剥ぎ被害木の自動抽出 -被害調査の省力化-現地検討会のお知らせ

本件に関連する報道等

テレビ放送
 テレビ信州ニュースevery信州版(11月22日)

新聞報道

信濃毎日新聞(11月11日)

 

【本件に関する問い合わせ先】

教員氏名:加藤正人  国立大学法人 信州大学学術研究院(農学系)

〒399-4598 長野県上伊那郡南箕輪村8304 TEL: 0265-77-1642  e-mail:mkatoh@shinshu-u.ac.jp

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