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令和4年度「自然の成り立ちと山の生業演習」を実施しました

お知らせ演習林系の実習

中央アルプスでの雨の中の登山。大樽小屋で昼食の休憩
中央アルプスでの雨の中の登山。大樽小屋で昼食の休憩
手良沢山ステーションでの間伐調査
手良沢山ステーションでの間伐調査
ヒノキの枝打ち
ヒノキの枝打ち
チェンソーを使った丸太切り
チェンソーを使った丸太切り
薪割り体験
薪割り体験

1.演習名
「自然の成り立ちと山の生業演習」

2.実習目的
「山岳環境保全学演習」「森林生産実践演習」「木材工学演習」の3つの演習を融合し、本格的なフィールド演習の未経験な非農学部生にも「自然の成り立ち」から森林作業と木材加工による「山の生業」を安全に体験できる初心者向けのダイジェスト演習として,演習林の各ステーションを利用して3泊4日の日程で開催する。

3.実施日
令和4年9月6日(火)~9日(金)

4.実施場所
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
西駒ステーション,手良沢山ステーション,構内ステーション

5.担当教職員
小林 元准教授,荒瀬輝夫准教授、宮本裕美子助手,木下 渉技術職員,野溝幸雄技術職員,TA3名

6.参加人数
10名

7.概要
コロナ禍で2020年,2021年に公開森林実習として開講できなかった自然の成り立ちと山の生業演習を3年ぶりに開講した。新型コロナウィルス感染拡大防止対策の一環として,学生宿舎の利用を制限したため,遠隔から受講する学生には大学近辺の民間宿泊施設を斡旋した。学生の宿泊施設から大学までの往復には,教員が公用車で送迎した。また,受講生には新型コロナウィルスの抗原検査キットを郵送し,陰性であることを確認した上で実習に参加していただいた。受講生は10名,実習指導は小林 元,荒瀬輝夫の両准教授と宮本裕美子助手の他,木下 渉,野溝幸雄の両技術職員に3名のTAを加えて実施した。

初日の座学では演習林各ステーションの自然紹介と中部山岳の里山に関する講義,西駒演習林の地域研究を国土地理院の地形図を用いて行った。

2日目の「自然の成り立ち編」は西駒ステーションで行った。桂小場ルートを経由して標高2,200mの亜高山帯まで登山した。この日は荒天のため信大ルートを経由することなく,信大分岐から往路を戻って14:30には登山口に下山した。終日雨にたたかれ行動を早めに切り上げたが,学生からは中央アルプスでは亜高山帯直下まで里山として利用されていたこと,人による過去の森林利用の形態によって森林の様相は大きくなる異なること,等実習の意図を十分に理解した感想が得られた。

3日目の「山の生業編」は手良沢山ステーションでおこなった。24年生のヒノキ林において林分調査を行い,間伐によって立木本数密度と林内環境がどのように変化するか調べた。また,鋸を使った枝打ち作業を体験した。管理棟の土場においては,チェンソーを用いた丸太切りと斧をつかった薪割りも体験した。学生からは森林での調査や作業が大変なことが良くわかり,林業の実態を知る良い社会勉強になった,丸太切りや薪割りを通じて針葉樹と広葉樹の材質の違いを体験できた,等の感想が寄せられた。

最終日には林分データを集計し,間伐による林分構造の変化を直径階ヒストグラムから考察した。合わせて,林内光環境の改善と公益的機能の向上について議論した。

8.感想・今後の展望と課題
延べ4日間にわたって登山に森林調査,森林作業,データ解析と忙しい実習であったが,講義と実習を通じて森林に対する知識を深めることができた,自大学では学べない林業実習を体験できた,等の感想が寄せられた。また,他大学から来た人と交流できて良かった。普段関わらない人とコミュニケーションできたことが良かった等の感想も挙げられた。

今回の実習は新型コロナウィルス感染拡大防止のために学生宿舎を利用することができず,他大学からの受講生が少なかった。パーティションの増設等,学生宿舎の改修を行い,コロナ禍においても他大学学生の参加し易い環境の構築を目指す必要がある。

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