2019年度「木材工学演習」を実施しました
1.演習名
公開森林実習「木材工学演習」
2.実習目的
各種の木材加工の道具・機械を用いて演習林の間伐材を加工し,一定の構造物(ベンチ)を作製する。そして、実際に木材に触れながら、木材加工の基礎的な手法を習得するとともに、樹木が生命活動によって生産する生物材料の木材について構造と性質を理解することを目指す。
3.実施日程
令和元年9月3日(火)より同9月6日(金) 3泊4日
4.実施場所
AFC 構内ステーション
5.担当教員
細尾佳宏(准教授),徳本守彦(名誉教授),小林 元(准教授),大塚 大(助手)
6.担当職員
酒井敏信
7.参加人数
信州大学工学部6名
筑波大学大学院2名
8.実習内容
9.概要
本実習の特徴は,受講生がベンチ作成の工程を連続的に実体験することを通じて,木材加工技術を習得するとともに,木材や木工道具の特徴を実物に触れながら理解を深める点にある。今年度は予定していたプログラムを遅滞なく実施することができた。以下に,各日ごとの状況を報告する。
【1日目】
受講生は木材加工室内の教室に集合し,開校式ならびに安全講習を行った。今年度は講習時に動画を用いた教材を準備しており,作業のイメージをよく伝えられたと思われる。続いて,実演を交えた木工機械の説明を受け,ベンチ作成に移行した。 本実習で使用する原材料は,森林認証を取得した本学AFC手良沢山ステーションから運材した間伐材である。これを,製材機にかけることで歩留りがどの程度であるか実感した。職員による製材ののち,皮むきを行った。当日の木材は含水率が高く,受講生は一気に皮がむけることに感動していた。一方で,続く表面加工では水分により木材が滑らない状況も体感した。学生同士で協力し,機械への素材の送り込みと引き出しを行っていた。最後に,過去に作成されたベンチを見学し,自分たちの作品イメージを確認した。
【2日目】
昨日加工した木材を,どの部分を作品のどこに使用するか割り振る木取り作業が行われた。班員で協力し合い,時には教員からの補助も受けながら順調に作業が進められた。
【3日目】
木取り作業を引き続き行い,職員による仕上がりの確認を受けた。そののち,のみ加工を行い,仮組みした。午後には,ベンチの立体構造について調整がおわり,ボルトを打ち込む本組みに移行した。ボルトの固定には不慣れな面も見られたが,集中して行っていた。夕食時には,同時に開講された山岳環境保全学演習の受講生とともに懇親会を開催し,他大学との親睦を深めた。
【4日目】
仕上げ加工・塗装を行った。今年度の受講生は,曲線を意匠に取り入れるなどこだわりが強く想定した時間を多少押してしまった。しかし,適当な役割分担から効率的な作業に勤めており,最終工程まで完了することができた。
10.感想・今後の展望と課題
本実習の⽬的について,学⽣アンケートからみてもよく達成したと判断する。実習内容についても,おおむね肯定的な意⾒が占めた。今後は,⼿良沢⼭ステーションが森林認証を取得している点からも,川上側の素材⽣産についても触れることで,実習の連続性が拡張されると考えられる。その際,好評であった映像教材の拡充を検討したい。
宿泊施設について,現在1階共有スペースの内装改修,就寝部屋の換気設備の設置を現在行っており,次年度以降はより快適に利用できると思われる。