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2019年度「森林利用デザイン演習」を実施しました

お知らせ演習林系の実習

1日目 ガイダンスの様子
1日目 ガイダンスの様子
1日目 林分調査
1日目 林分調査
1日目 チェンソー練習
1日目 チェンソー練習
2日目 伐倒作業
2日目 伐倒作業

1.演習名
公開森林実習「森林利用デザイン演習」

2.実習目的
「木材搬出技術および森林経営デザイン能力の習得」
本演習の目的は,木材生産に関する将来まで見通した森林経営のデザイン能力を身につけることである。望ましい間伐や,運材方法の検討・実践を行うために,林分状況の把握からはじまり,実際に林業機械の操作を行うことを通じ,一貫した収穫技術の流れ,諸機械の特徴および操作方法を学ぶ。

3.実施日程
令和元年8月26日(月)より同8月29日(木) 3泊4日

4.実施場所
AFC 手良沢山ステーション

5.担当教員
植木達人(教授),小林 元(准教授),斎藤仁志(准教授,岩手大),大塚 大(助手)

6.担当職員
木下 渉,野溝幸雄

7.協力企業
日立建機日本株式会社,株式会社前田製作所

8.参加人数
信州大学農学部13名

9.タイムテーブル
 森林利用デザイン演習タイムテーブル.jpg

10.概要
本演習の特色は,伐倒から造材に至るまで,素材生産における一連の工程を連続的に体感可能な構成がとられている点にある。このことにより,受講生は実際の作業現場さながらの環境下における工程間の連携を実感し,組織化された素材生産作業を理解しやすくなっている。また,並行して関係法令に基づく資格制度,海外での林業の機械化事情に関する講義も盛り込まれ,非常に充実した内容となっている。今年度は悪天候が想定され,当初から若干の変更はあったものの,おおむね予定していた内容を実行することができた。

1日目はまず農学部構内にて集合したのち,手良沢山ステーションへ移動し,演習全体のガイダンスを行った。午後からは作業対象となる林分での基礎調査を行い,基本情報を取得,そののちに当該林分における経営方針の策定を行った。
15:00より,平地にてチェンソーとドラグショベルの基本的な動作練習を行い,翌日以降の作業に備えた。ここでは,技術職員が作成した補助具を用いることにより,学生は昨年までの実習と比較して安全に練習することが可能であった。

2日目は,全日一般的な木材の搬出作業に関する実習を行った。伐倒・集材(荷掛け手・機械オペレータ)・造材の計4つにわたる作業種を順に体験し,素材生産の一連の流れを実践した。

05_2日目 集材作業.jpg  06_2日目 造材作業.jpg

(左)2日目 集材作業
(右)2日目 造材作業

3日目の午前中は,高性能林業機械であるハーベスタによる造材を行った。前日の造材工程は,人がチェンソーを用いて行うものであり,機械化による労働者の負担軽減を実感した。しかしながら,手良沢山ステーションを含む地形の急峻な地域では,これら機械は林内路網が整備されていないと現場で使用することができない。ハーベスタ実習の待機時間を活用し,学生は地形図を片手に,実際に作設された路網を視察しながら素材生産に必要な路網に関する講義を受けた。

午後からは油圧式集材機の製造元である前田製作所より機械の概要について,建機総合業の日立建機日本より林業の機械化の現状・海外視察についての報告を受けた。懇親会では,受講生同士そして協力いただいた企業の方々との親睦を深めた。

07_3日目 ハーベスタ実習.jpg  08_3日目 高性能林業機械講義.jpg

(左)3日目 ハーベスタ実習
(右)3日目 高性能林業機械講義

4日目は,油圧式集材機の操作体験,並びに集材作業で多用するワイヤロープのアイ加工を学んだ。集材機はリモコンによる遠隔操作を実体験し,半自動化によって作業員の削減が見込まれることの説明を受けた。アイ加工では,当初繊維ロープと異なる金属素材を取り扱うことに苦戦している様子がうかがえた一方で,最終的には各々で仕上げることができた。これらののち4日間の総括を行い,農学部構内へ移動,解散した。

09_4日目 油圧式集材機実習.jpg  10_4日目 アイスプライス.jpg

(左)4日目 油圧式集材機実習
(右)4日目 アイスプライス

11.感想・今後の展望と課題
学⽣へのアンケートからは,実習内容についておおむね⾼い評価を受けた。⾃由記述欄の多くに,「普段⽬にしない機械に触れた」「実際に動かすことができた」類の記⼊がみられる。学⽣⾃⾝が作業を⾏うという点で,2年次に受講した座学の実践の場として理想的であったと考えられる。また,「⾯⽩い」「楽しい」といった感想だけではなく,「危険」「安全」の記述がみられた点は,卒業後には公務員などの監督⽴場に就くであろう学⽣への教育が正しく機能していると判断できる。演習の基本的な構成を保ちつつも,今後は実際的な事業費の積算についても触れるなど,内容を充実させていきたい所存である。

本年度においても,株式会社前⽥製作所,⽇⽴建機⽇本株式会社の皆様には多⼤なるご⽀援を賜った。ここに記して謝意を表する。

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