平成26年11月11日 取材

平成27年11月11日(水)

全学教育機構・高野 嘉寿彦(たかの かずひこ)センター長に松岡室長がインタビューしました。

~男女共同参画について~

【全学教育センター】高野 嘉寿彦 センター長

松岡室長(以下「松」):本日は男女共同参画へのお考え、全学教育センター(以下:センター)の男女共同参画の様子等を伺わせていただければと思います。先生には本推進室のメンター(学長委嘱)に登録していただき、ありがたく思っています。

高野センター長(以下「高」):前任の村上先生が奥様も研究者ということで男女共同参画に熱心に活動されて、現在はそれを引き継いで行っています。女性研究者の育成に貢献したいので、メンター講習を受講して、登録させていただきました。昔は女性が専業主婦になるのが一般的でしたけど、今は女性も仕事を持つことが多くなり、男女で手を取り合ってやっていければベストだと思います。

松:統計を見ますと、現在は専業主婦世帯が少数派になって、共働き世帯が圧倒的に多いので、だんだん意識は変わってきていると思います。

高:そうですね、私の家庭も共働きだったので、子どもが小さい時は苦労しました。保育園の送り迎え等、子どもの世話をしてきました。

松:では、信州大学が男女共同参画の事業を始めてもあまり違和感がありませんでしたか。

高:そうですね。現在女性教員は少ないですけれど、女性職員は多いですよね。やはり社会を構成する中で男性女性しかいないので、その中で女性が家庭だけではなくて、社会の中でもうまくやれるシステムができればいいのかなと思います。

~育児・介護について~

高:私が工学部に在籍の頃、育児休業を取れますということを言われました。ただ、なかなか表立ってできなかったので取りませんでした。現在は3年取れるので昔と比べてとてもよくなりましたね。

松:ただ、私は3年休まない方がいいと思います。復帰する気持ちがだんだんトーンダウンしていきますよね。

高:2人目を出産して、合わせて6年休んじゃうとなかなか億劫ですね。
【全学教育センター】高野 嘉寿彦 センター長

松:相当億劫になりますよね。また、復帰後に新しい情報や知識がないとついていくのも大変です。育児休業中に大学が定期的にサポートしたり、自宅で大学の情報にアクセスできるような環境にしたりすることが必要かなと思います。

高:企業でも在宅勤務が多くなりましたよね。子育てと介護はずっとじゃありませんから。

松:最近では自分の親は自分で介護したいという男性も増えていますね。

高:私もできれば自分の親は自分で介護したいと思っています。その方がお互いに言いたいことは言えるし、気が楽だと思います。最後に感謝を込めて。

~機構の女性教員について~

松:センターでは女性限定公募も行っていただき、比較的女性の比率が高いですね。

高:そうですね。女性限定公募で体育の先生を1名採用させていただきました。

松:一般の公募ではいかがでしょうか。

高:文系の分野ですと女性が多いです。能力が同じだったら女性を採用すると公募要領に記載するようになって、2名の先生を採用できました。

松:センターでは女性教員を増やしていただいて、ありがたく思います。

高:センターは設立して10年で、歴史も浅く伝統もないので、新しい感覚でやらせてもらっています。

松:女性の応募者を増やす工夫など、何かお考えはありますか。

高:増やす工夫というとなかなか難しいですが、信州大学は環境が良いと思うので、自然がいいという方にぜひ来ていただけたらと思います。

松:現在は理系の女性教員を増やそうと努力しておりますがいかかでしょうか。

高:私は数学が専門で、学会などでも女性が多くなってきたように感じます。会場に託児所が設けられるようになって、やっぱり女性が増えているなと感じています。ほんとうにいいことだと思います。

【全学教育センター】高野 嘉寿彦 センター長

~育児、保育施設について~

松:大学構内で保育所を運営しておりますが、さらになにかご要望はございますか。

高:私の子育て経験で大変だったのは小学校低学年です。下校時間が早く、学童保育も早くに終わってしまいます。子どもを遅くまで預かってもらえるような場所もご検討いただければと思います。

松:確かにその要望はいろいろなところからきています。あと病気の時も困りますよね。

高:子どもが風邪引くと、とても大変でした。夫婦で交互に休みを取って、もう一人にうつらないように工夫していました。

松:病後児保育は附属病院で行っていますが、現在は病院関係者のみ対象となっています。その対象を他の学部にも拡げられればいいのですが。また隔地学部については市町村や大きな病院と連携してできると一番いいかなと思います。

~男女共同参画の講義について~

松:センターに男女共同参画の内容を少しでもいいので入れていただきたいということをお願いしておりますが、いかがでしょうか。男女共同参画の講義もありますが、いろいろな先生が少しずつでも触れてくださると学生にとってはいいのかなと思って取り組んでおります。

高:共通教育は1年生が全員受講するので、少しずつ意識を変えてくにはいいかもしれませんね。

松:できるだけ多くの科目でそのような取組もお願いしたいです。既に男女共同参画の内容を講義に取り入れている先生のお話を聞く機会を設けると、いいきっかけになるかなとも思います。

~学生について~

松:最近女子学生が少しずつ増えてきていますね。

高:そうですね。これから先、多くの女子学生に受験していただけるような環境をつくらないといけませんね。

松:工学部は女子の受験生を意識して、椅子をカラフルにしたり、パウダールームを設置したりと取り組んでいます。

高:それは大事ですね。センター棟も耐震改修を行った際に、1階の女子トイレにパウダールームを設置しました。やはり学生を引き寄せるには見た目、色も大事です。ぜひ女性にもイメージがよくなるような設備をいれていきたいと思いますし、1階のコミュニケーションスペースにカラフルな椅子を入れられたらいいと思います。明るいイメージを持ってもらえるよう、徐々に変えていきたいと思います。あとは入学した女子学生ができるだけ負担なく学生生活を送れるよう、いろいろやっていきたいと思います。

松:1年生の副担任を機構の先生が担当してくださり、日常的に接していただいております。そういうときも、女性の先生が必要だと思いますが。

高:最初は難しく感じても、いろいろ意見交換していると、いい案が出てくると思います。その中で男女共同参画の講義についていろいろなことをやっていきたいと考えています。
【全学教育センター】高野 嘉寿彦 センター長

~最後に~

高:女性がせっかくキャリアを積んだのに、寿退社するのはもったいないと思います。今は炊事や洗濯で時間は取られませんしね。大学生の時にひとり暮らしをして、家事に対する意識がかなり変わったと思います。

松:ひとり暮らしは男性の自立に貢献していますね。

高:やってみると母親のありがたさが分かります。

松:実践することが大事ですね。本日はどうもありがとうございました。今後ともよろしくお願い致します。
【全学教育センター】高野 嘉寿彦 センター長