学長メッセージ

学長 中村宗一郎
学長 中村宗一郎

 大学の存在意義(パーパス)の一つに『SDGsへの貢献』があります。ご存知のように、SDGsの基本理念はNo one will be left behind(誰ひとり取り残さない)です。真の共生社会を実現するためには、全ての人が自立し、互いに助け合うことで"自分らしく"暮らし続けることのできる社会風土を涵養することが求められます。信州大学のミッション・ビジョン・バリューは、真の共生社会構築に資することにあると認識しています。インクルージョンやダイバーシティは、そこに行く着くための重要な過程、手段、方法と考えられます。信州大学が未来へと続くサスティナブルな組織になるよう、男女共同参画の試みをさらに前に推し進めます。

 信州大学では平成23年12月に「信州大学男女共同参画宣言」を行い、男女共同参画社会の実現に努め、これを自らの社会的責務とすることを宣言しました。宣言と同時に、次のような「信州大学男女共同参画基本方針」を策定し、それらを実現するための「信州大学男女共同参画行動計画」を制定しました。

 1. 男女共同参画推進体制の確立
 2. 女性研究者の応募・採用拡大と育成の促進及び研究活動の支援
 3. 大学運営に関する女性参画の推進
 4. 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進
 5. 男女共同参画に関する教育・啓発活動と学内外の協力・連携

 国は、男女共同参画社会基本法に基づき、第5次男女共同参画基本計画(令和2年12月15日閣議決定)を策定しました。その中で2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%程度となるよう取組を進めるとし、大学教授等に占める女性の割合についても、2025年(令和7年)までに23%とすることを目指しています。信州大学では、この政策方針に配慮した女性教員比率向上のためのポジティブアクション(積極的改善措置)を実施しています。その結果、信州大学では教員に占める女性の割合は着実に増えてきましたが、私は、この流れをさらに前に進めていく所存です。

 多様な性を生きる学生や教職員に寄り添うことも重要と考えます。わが国には性的マイノリティ(LGBTQ+)の方々を守る法律はまだなく、このような人たちの人権の保護が急がれます。そこで、多様な性についての理解を深め、習慣・常識を変え、理解者を増やすことを大学として考えます。具体的には、LGBTQ+の教員、職員、学生の就労・就学上の課題に適切に対応するためのガイドラインの作成を急ぎます。そして、全ての教員、職員、学生の方々にとって、本学が「学び甲斐があり、働き甲斐があり、互いの夢が叶う大学」となるよう、就労・修学上の環境整備、例えば多目的トイレや更衣室の増設等を積極的に進めたいと考えています。

令和3年10月

男女共同参画推進センター長メッセージ

センター長 関利恵子
センター長 関利恵子(学術研究院社会科学系教授/学長補佐)

 信州大学男女共同参画推進センターでは、信州大学の教職員が自分らしく活き活きと活動することを目指し、意識啓発、女性研究者等の支援、ワーク・ライフ・バランスの推進に取り組んで参りました。また本センターが提供する共通教育科目「人生100年時代のライフデザイン」ではこれからの時代を柔軟な思考と行動力で生きるために不可欠なコンテンツの講義を展開しています。さらに2022年には、本学のすべての教職員と学生が様々な個性・考え方を尊重し合える環境作りに向けて「信州大学におけるSOGI(性的指向・性自認)の多様性を尊重するための基本理念・基本方針」を制定し、相談窓口の整備・運営などを進めています。それ以外にもSuFRe通信を発行して取組みや制度の広報に努めています。

 これまで信州大学ではそうした取組みによって男女共同参画を推進してきましたが、現実をみると教員に占める女性比率は86大学中58位、指導的地位や教員に占める女性割合も高くはありません。真の男女共同参画は、数値のみで測れるものではありませんが、早急な改善が必要であることは言うまでもありません。

 さて、私たちはここ数年にわたるコロナウィルスの感染拡大によって、緊急事態宣言やマスク着用義務など、これまで経験したことのない生活を強いられました。その一方で、オンライン活用が加速し在宅勤務や講義受講も可能になりました。しかしネットやSNS上に誤った情報が拡散されることによる混乱や誹謗中傷など、正しい情報を理解することの大切さも改めて感じたのではないでしょうか。

  コロナを超えて今までの日常が戻りつつある今年、正しい情報を発信して、共同参画やダイバーシティへの理解を促し、信州大学の真の共同参画、ダイバーシティを前進させることができればと思います。そのために何が必要で何をすべきかを考えながら積極的に情報を発信し、活動を進めたいと思います。

令和5年4月