繊維学系
加速する「ファイバールネッサンス」
グローバルに活躍する
人材の育成へ
学術研究院繊維学系
国際ファイバー工学研究所所長
高寺政行教授

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繊維学系
学術研究院繊維学系
国際ファイバー工学研究所所長
高寺政行教授
社会やビジネスの変化の中で
自身の研究を客観的に捉える視野が必要です
繊維学部では、次世代のリーダーを養成する「博士課程教育リーディングプログラム」、いわゆる「リーディング大学院」が2013年にスタートしました。この春(2016.4月)で学生を受け入れて3年目を迎えます。
このプログラムは、修士課程・博士課程の5年間を通じて、繊維の幅広い知識をもって国際的に活躍できるリーダーを養成していくことを目的にしています。
従来の私たちの大学院は研究が主体ですが、このプログラムでは研究に加えて、企業の経営者の方、海外の研究者の方による講義やワークショップの機会を増やしています。研究でひとつのことを極めることも重要ですが、自身の研究が世界の中ではどのような位置づけにあるか、またはビジネスや社会の変化の中でどのような役割が果たせるか。そのように俯瞰的に捉えていけることを大切にしています。そうすることにより、社会に入って異なる分野に進んだとしても、学んだ方法論や広い知識、リーダーシップの力を十分に活用することができるからです。
また、リーディング大学院では、英語力を実践的に高めることにも重点を置いてきました。学生の演習として、海外で自身の研究をプレゼンテーションする、または海外の研究者や学生とディスカッションするということを実践しています。そのような経験があると、将来、国際的な場で活躍をする時の抵抗感はなくなってきますね。実際にここ2年続けてTOEIC800点以上を取得する学生もいて、本人の努力があれば、卒業までに皆が800点取得できるような仕組みは作れていると思います。このプログラムの参加者の約半数は留学生ですので、普段のコミュニケーションそのものが、国際的な視野を広げることにつながっているとも感じています。
将来的に、プログラムの参加者たちは産業界や行政の現場でリーダーとして活躍していくことを目指しています。リーダーシップの養成ということについては、企業の経営者の方に泊まりこみで講演や座談会をしていただくなど、リーダーとしてのあり方を身近で学ぶ場を設けてきました。また一方で、学生同士がグループで活動するときなど、自身の立ち位置からどうやって全体をうまく進行させることができるか、一人ひとりが意識し、努力する姿勢を身につけられるようサポートしています。
プログラムの初年度の参加者は、これから3年目(2016.4月時点)の博士課程に入っていきますが、外部の評価委員の先生方からは、学生の総体的な成長が著しく、プログラム全体としても良い成果が出ているという評価をいただいています。非常に恵まれた環境なだけに期待値も高く、それを受けた学生たちがこれからも切磋琢磨してくれるのを楽しみにしています。
グローバルに繊維関連のことを学ぶには、
世界的に見ても良い環境になってきています
繊維学部のもうひとつの大きな取り組みとして、2014年にスタートした国際ファイバー工学研究所(IFES)があり、私はこの研究所長をつとめています。ここは、信州大学の先鋭領域融合研究群のひとつとして、繊維学部が展開するファイバー・テキスタイル・衣服工学をさらに発展させるために設立されました。
この研究所は、制度の一環として海外の研究者を招聘しているため、専任教授と海外の教授との間で共同研究が進んでいます。修士・博士の学生とも、希望すれば共同研究に参加したり、海外の先生方のレクチャーを聞く機会があり、ここ数年、そういった機会は非常に増えていますね。海外の教授によって、これまで日本の大学にはなかった分野の授業も開講されています。グローバルに繊維関連のことを学ぶには、信州大学は世界的に見ても非常に良い環境になってきていると言えます。
これら、博士課程教育リーディングプログラムや国際ファイバー工学研究所は、ここ数年の大きな動きですが、私たちの学部はそれ以前から、国内唯一の繊維学部として、繊維・ファイバーの世界的な拠点になるべく活動してきました。海外の先進国では、拠点となる大学がいくつかありますが、そこに勝るとも劣らない環境づくりのため、ここ20年くらい取り組んできた伝統があります。
これまでの活動で、日本の他大学とも繊維を通じた連携を強くし、また産業界からも研究やインターン、就職面で多くの支援をいただいてきました。今では、修士・博士の学生が学びを深めるチャンスは豊富にあります。限られた時間の中でカリキュラムをこなすのは大変ですが、経験した分の成果は必ず表れますので、ぜひ意欲的に取り組んでいってほしいですね。