火災という一つの極限の熱流体に対する現象・原理及びプロテクションに関する研究をしています

若月 薫
教員氏名 若月 薫
職名 教授
所属 機械・ロボット学科
研究分野

熱工学、火災工学、実験工学、赤外線分光、安全衛生

研究課題

(1) 火災という極限熱環境の現象・原理の理解
(2) 耐熱服・消防服の内部で生じている熱伝導プロセスの解明・熱傷防止のための衣服構造の開発
(3) 火災に耐える、防ぐ、燃えにくくする素材・複合材料の物性・評価法・設計手法の開発
(4) 消防士が使用する高度な熱防護機能を有する個人保護具の設計・試作・実証(技術要素の提案)

出身校 アメリカ メリーランド大学
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一言コメント

研究内容は、熱工学及び材料工学を幅広く使った横断的な研究アプローチで、「火災から人や財産を守る」ことです。防火性能の限界及び安全性をどのように使用者に認識させるか、という全く相反する点も意識した研究を実施します。

研究紹介

消防活動の安全を確保し、一人でも多くの市民を火災から救う

火災という一つの極限の熱流体に対して、(1) 火災という極限熱環境の現象・原理の理解、(2) 耐熱服・消防服の内部で生じている熱伝導プロセスの解明・熱傷防止のための衣服構造の開発、(3) 火災に耐える、防ぐ、燃えにくくする素材・複合材料の物性・評価法・設計手法の開発、(4) 消防士が使用する高度な熱防護機能を有する個人保護具の設計・試作・実証 (技術要素の提案) を研究しています。火災から材料及び人を防護することが目標ですが、研究成果は新技術の開発に加え、労働者 (ユーザー) の安全啓発 (Education) のために発信します。

 

 
耐炎サーマルマネキンを活用した防火服の評価・設計。防火服に関わる耐熱・防炎試験方法の研究開発・評価も行う。   消火活動用グローブの耐熱評価試験方法の開発及び現行品の評価。着用状況を再現し、耐熱・機能性に優れた手袋構造を研究している。

 

≪研究から広がる未来≫


一つの問題の物理的根拠を大学で習得した幅広い知識により理解し、問題解決のアプローチを探っていける力を育てます。大学内のみならず実社会・災害現場において、自身の研究がどのように活用されているかを実体験し、理想と現実のギャップに理解を深めることは、将来社会人においてもいかに学問と実務とを結び付けるかを考える貴重な機会になると考えます。

消防活動の安全を確保し、一人でも多くの市民を火災から救う

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若月研究室では、火災という一つの極限の熱流体に対して、(1) 火災という極限熱環境の現象・原理の理解、(2) 耐熱服・消防服の内部で生じている熱伝導プロセスの解明・熱傷防止のための衣服構造の開発、(3) 火災に耐える、防ぐ、燃えにくくする素材・複合材料の物性・評価法・設計手法の開発、(4) 消防士が使用する高度な熱防護機能を有する個人保護具の設計・試作・実証 (技術要素の提案) を研究しています。火災から材料及び人を防護することが目標ですが、性能の限界及び安全性をどのように使用者に認識させるか、という全く相反する点も意識した研究を実施します。研究で得られた知見は、保護具開発にとどまらず、労働者 (ユーザー) の安全啓発 (Education) のために発信していきます。


写真は、防火服の耐熱試験の様子 (消防庁消防研究センターと共同研究)

消防服は炎から消防士を護る科学の鎧

(左) 消防服を着ているのは若月准教授 (右) 実験には本物の消防士が着用して臨みます

(左) 消防服を着ているのは若月准教授 (右) 実験には本物の消防士が着用して臨みます

火災の際に私たちの生命や財産を守ってくれる消防士の皆さん。しかし、彼らだってスーパーマンではないのですから、消火活動のためには特別な用具が必要となります。機械・ロボット学科の若月 薫 准教授は、火災という極限熱環境において消防士を護る消防服について研究しています。消防士が長時間の消火活動に従事するためには、消防服や保護具が燃えにくい素材で作られているだけでは不十分であり、消防服内部の熱伝導を正しく把握し、効率的に熱を逃がす構造とすることが重要です。また、可動性を阻害せずに身体と服の間に空隙を設けて身体に伝わる熱を遮断する仕組みについても考えなければなりません。こうした若月先生の研究成果は、溶鉱炉などの高熱となる環境での作業服や宇宙服への応用にも期待されています。


消防士を護る消防服に対する若月先生の研究は、まさかの時のために必要不可欠なものです。しかし、私たちが日頃から火事を起こさないよう注意して、消防士が活躍しないですむようにしたいものです。なお、総務省消防庁がまとめた統計によれば、平成28年に出火件数が最も多かったのは3月だったとのことです。火の元にはどうぞご注意ください。

(掲載期間 平成30年 3・4月)