身近なムシを見つめて生き物を知る
一言コメント | 昆虫の持つ有用形質や生理機能、または不思議な現象を解明し、私たちの生活に役立てることを目標にしています。普段は主にチョウ目昆虫(チョウやガの仲間です)のカイコとエビガラスズメを用いて研究を進めています。 |
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研究紹介
昆虫の優れた能力と生存戦略を追究し、日々の生活に活かす!
普段目にする「むし」の何気ない現象にも未知の機構がいっぱい。白井研究室では、そんな昆虫の持つ優れた能力を研究することで、将来、私たち自身の生活に役立てようと考えています。例えば、アオムシの色。アオムシは昔から緑色と決まっていますが、ではどうやって緑色になっているのでしょうか? 研究を続けると、私たちヒトの様々な疾患の原因ともなる、タンパク質の分泌制御機構が関わっていることが分かってきました。近い将来、昆虫から学んだ知見から人間の病気を治すヒントが得られるかも。
エビガラスズメ緑色幼虫。エビガラスズメは日本の至る所に生存する大型のチョウ目昆虫。サツマイモの害虫でもある。 | 幼虫の真皮細胞から抽出した色素結合タンパク質。このタンパク質にタンパク質分泌制御のヒントが! |
≪研究から広がる未来≫
タンパク質分泌の制御機構は、現在最も注目されている研究分野の一つです。ペプチドホルモンなどの分泌制御機構の破綻は、昆虫のみならず、我々ヒトにおいても極めて重大な影響を及ぼすことは想像に難くありません。しかし、その分子機構の解明は意外なほど進んでおらず、未だに多くの謎を残しています。白井研究室ではアオムシの緑色の研究を通じて、哺乳類細胞の研究とは少し違った角度から、この現象にアプローチしています。将来、糖尿病などの疾患の克服に、昆虫の研究が役立つことを期待しています。