光るナノカーボン

服部 義之
教員氏名 服部 義之
職名 教授
所属 化学・材料学科
研究分野

カーボン科学

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一言コメント

ナノカーボンをベースとした蛍光材料、吸着材料、電極材料の研究開発を行っています。

研究紹介

ナノカーボンを用いて新たな発光材料やエネルギー貯蔵材料の開発を目指す

服部研究室では、蛍光性ナノカーボンを合成する研究や、ナノカーボン (カーボンナノチューブ・グラフェン・カーボンナノホーンなど) をエネルギー貯蔵デバイス (リチウム1次電池、リチウム2次電池、スーパーキャパシタ) へ応用する研究を行っています。また、フッ素化学の手法によりナノカーボンの表面化学修飾を行い、電池・キャパシタ用電極の性能向上を目指しています。さらに、カーボンナノホーンをフッ素ガスの貯蔵材料に利用し、フッ素ガス供給デバイス開発につながる研究を行っています。基礎から応用まで、幅広い視野で研究を展開しています。

 

 
光るナノカーボン。蛍光性ナノカーボンの合成に成功した。イメージング材料などへの利用が期待される。   ポーラスカーボンナノシートの合成に成功。キャパシタや高出力リチウムイオン2次電池用電極として期待される。

 

≪研究から広がる未来≫


リチウム2次電池やスーパーキャパシタは、電気自動車の駆動用電源に利用されようとしています。蛍光性のナノカーボンは、次世代のバイオイメージング材料などへの応用が期待されています。フッ素ガスは、環境にやさしく、省エネルギーの半導体用クリーニングガスとして実用化が強く望まれています。ナノカーボンを通じて環境・省エネ技術に貢献し、日本の命運を握るサイエンスを自ら切り開きませんか?

CO2分離・回収やエネルギー貯蔵が可能な炭素繊維

SDGs (持続可能な開発目標) を構成するゴールの一つに「気候変動に具体的な対策を」という項目があります。このゴールにたどり着くための取り組みとして、気候変動対策、とくに環境中への二酸化炭素CO2の排出量削減が求められています。CO2排出量削減には化石燃料の使用を控える必要がありますが、すぐに全ての化石燃料をクリーンエネルギーに代替することは容易なことではありません。そこで、排出されるCO2を分離・回収する技術が注目されています。一般には、自然 (森林など) による吸収、地層回収・貯蔵、吸着法などが検討されています。化学・材料学科の服部 義之 教授は活性炭素繊維 (ACF) を化学修飾し、特異なガス吸着特性を発現させる研究を行っています。最近、フッ素修飾したACF (フッ素化ACF) [走査型電子顕微鏡写真・上] がCO2を選択的かつ高密度に吸着する現象を発見しました。フッ素化ACFの細孔径 (ガスを吸着する小さな孔の大きさ) と炭素-フッ素結合の化学結合力を制御すると、フッ素化ACFがCO2を強く吸着したのです。

また炭素繊維は、電気を貯蔵する電池やキャパシタの電極としても期待されている材料です。服部研究室では、溶液中でイオンを高速かつ高密度に吸着できるACFを調製し、高性能なキャパシタを開発しようとしています。一例をあげると、コットン繊維から作製したACF [走査型電子顕微鏡写真・下] は良好なキャパシタ性能を示しました。このように、炭素繊維を利用して地球環境問題やエネルギー問題を解決することに挑戦しています。
(掲載期間 令和 3年 1・2月)