高分子膜の機能化による物質移動の制御
一言コメント | 高分子やそれを薄く伸ばした膜を化学および物理的に改質し、機能性を付与することにより、物質移動の制御可能な分離膜やバリア膜の研究を行っています。 |
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研究紹介
ペットボトルには小さな孔がイッパイ!? そんな高分子膜の謎を紐解き、開発に着手
ペットボトル等に代表される合成樹脂の高分子膜には、実は非常に細かい孔が空いています。と言っても、液体は通さずにわずかな気体を通す孔ですが。この気体の通りにくさ (バリア性) を100万倍ほど高めて、電子材料向けのバリア材ができないかという研究を進めているのが平田研究室。実現すれば、液晶テレビや携帯電話の画面がガラスからプラスチックに切り替わり、価格を抑えることまでもが可能になります。またガラスよりも薄く、軽く、柔らかいため、破損する可能性も低くなるほか持ち運びも便利になるので用途も格段に広がるという、いま注目の研究分野なのです。
左が塩水、右が真水で、間にあるフィルムを通して塩分がどれだけ真水側に移動するのかを、塩分濃度計で測定する。 | (左) 酢酸セルロースをアンモニアで煮て、高分子の変化を探る。(右) 界面活性剤による膜の作製も学生が取り組んでいる。 |
≪研究から広がる未来≫
バリア性を高め何も通さない高分子膜を開発する一方で、「特定の物質だけを通す」高分子も研究中。この特性を活用すれば、大気から酸素のみを取り出したり、海水を真水に変えるといったことも可能に。人工透析など医療の現場での利用も考えられています。またこの技術は私たちの生活に直接生かせるものだけでなく、研究者が実験を行う際にも非常に役立つ技術でもあり、多くの開発に一役買っているのです。