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α-シクロデキストリンの経口摂取が放射性ヨウ素の甲状腺集積を抑制 -食品添加物の摂取が被ばく線量を低減する可能性-

2023年05月15日 [プレスリリース][研究]

 信州大学基盤研究支援センター RI実験支援部門の廣田昌大准教授、熊本大学大学院生命科学研究部の伊藤茂樹教授、白石慎哉講師、東京大学アイソトープ総合センターの桧垣正吾助教、長崎大学原爆後障害医療研究所の西弘大助教らによる研究グループは、食品添加物として使用されるα-シクロデキストリン(以下、α-CD)の経口摂取が放射性ヨウ素の甲状腺への移行を抑制する効果を持つことを明らかにしました。
 甲状腺がんや機能低下を引き起こす可能性のある放射性ヨウ素の生体内での吸収が抑制されれば、甲状腺被ばくの低減につながることが期待できます。本研究では、α-CDの経口投与による生体内の放射性ヨウ素の吸収抑制を、マウス実験において単一光子放射断層撮影(SPECT撮影)による直接測定によって初めて明らかにしました。放射性ヨウ素とα-CD溶液を投与したマウスの甲状腺への取り込みは、摂取24時間後に、コントロール群に比べて約40%低下しました。α-CDの経口摂取が放射性ヨウ素の甲状腺への移行を抑制する効果を持つという発見は、同じ効果を持つ医薬品である安定ヨウ素剤に比べて比較的安全性が高いため、予防的に服用できる大きな利点があります。そのため、食品、医薬品、原子力防災、医療など多くの分野での応用が期待されます。


(研究成果のポイント)
・α-シクロデキストリンは、廃液中の放射性ヨウ素に対してして高効率に回収材へ吸着させる効果を持つことが分かっていました。
・今回、動物実験において、単一光子放射断層撮影(SPECT撮影)による放射性ヨウ素の直接測定によって、α-シクロデキストリンによる体内の放射性ヨウ素移行抑制効果を初めて明らかにしました。
・α-シクロデキストリンは、チューブ状ワサビにおける辛み成分の飛散防止や特定保健用食品の有効成分(血中コレステロールを減らす・脂肪の吸収を抑えるなどの成分)など、食品添加物としても使用されている安全性の高い物質であり、飲料水として使用することによって医療や原子力防災など多くの分野での応用が期待されます。

この研究成果は、2023年4月28日付でScientific Reportsに掲載されました。

20230515_hirota.png

プレスリリース(PDF 645KB)


(論文情報)
〈雑誌〉Scientific Reports
〈題名〉Reduction of thyroid radioactive iodine exposure by oral administration of cyclic oligosaccharides
〈著者〉Kodai Nishi,† Masahiro Hirota,† Shogo Higaki,† Shinya Shiraishi,
Takashi Kudo, Naoki Matsuda and Shigeki Ito*
† These authors contributed equally to this work.
〈DOI〉10.1038/s41598-023-34254-0

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