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中沢洋三教授がAMED再生・細胞医療・遺伝子治療公開シンポジウムで、研究開発中のがん治療:CAR-T療法を紹介

2022年11月04日 [報告][研究]

『がん治療に期待が膨らむCAR-T療法』



信州大学医学部小児医学教室            
信州大学遺伝子・細胞治療研究開発センター(CARS)
中 沢 洋 三


 日本医療研究開発機構(AMED)の「令和4年度AMED再生・細胞医療・遺伝子治療公開シンポジウム~再生・細胞医療・遺伝子治療の未来~」で、私たちの研究グループの取り組みについて講演し、座談会では京都大学の山中伸弥先生と意見交換をさせていただきました。
 CAR-T療法は、患者から採取した血液(T細胞)を、遺伝子改変技術によってがん細胞への結合能と殺傷能を強化させ、培養技術によって十分量まで増やした後に、患者の体内に戻す次世代のがん治療法です。現在、B細胞性腫瘍(急性リンパ性白血病と悪性リンパ腫)または多発性骨髄腫を対象とする、外国産の2種類のCAR-T細胞(CD19 CAR-T細胞とBCMA CAR-T細胞)ががん治療薬として国内で承認されています。その臨床効果が劇的であることから、他のがん種への臨床応用が期待されています。
 シンポジウムでは、信州大学で開発中の新しいCAR-T細胞、特に信大病院で医師主導治験を実施中の骨髄性白血病を対象としたGMR CAR-T細胞と骨・軟部肉腫および婦人科悪性腫瘍を対象としたHER2 CAR-T細胞について紹介させていただきました。私たちはこれまで9つのAMED事業の中で、独自のCAR-T設計・製造技術に基づいた国産CAR-T細胞の臨床開発に取り組んできました。座談会で山中伸弥先生は、日本の創薬には"死の谷"が存在する、つまりアカデミアの基礎・応用研究を製薬企業の臨床開発に橋渡しする仕組みが不足していることを強調されていましたが、私たちも何度もこの"死の谷"に苦しめられてきました。日本はこのままだと、"ドラッグラグ(日本への新薬の導入の遅れ)"から"ドラッグロス(日本に新薬が入らない状況)"に転落すると懸念されています。私たちは"死の谷"を乗り越えるために、CAR-T細胞を基礎・応用研究から、非臨床試験、製造・品質試験、医師主導治験に至るまで(製薬企業開発の手前まで)、信大ワンストップで開発するアカデミア創薬基盤を構築し、国や企業から注目を集めています。信大発のCAR-T細胞を一日でも早く、一人でも多くの患者さんに届けられるよう、今後も研究開発に邁進していきたいと思います。


クラウドファンディング実施中:
"小児・AYA世代がん"、"婦人科がん、"肺がん"などを対象とする臨床試験への橋渡し研究
https://www.shinshu-u.ac.jp/donation/news/2022/01/car-t2.php




研究室における実験用CAR-T細胞の観察
 
 信大病院先端細胞治療センターにおける治験用CAR-T細胞の製造


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