国際交流・留学
2023年度 春・アメリカ 「学生のうちの海外留学」(基礎研究)
氏名:渡邉 吾利武
派遣先:アメリカ カリフォルニア大学デイヴィス校
期間:2024年3月~5月
留学先大学について:
私はカリフォルニア大学デイヴィス校(UC Davis)に2ヶ月間留学しました。メインキャンパスはサンフランシスコから北東に車で約1時間半の場所にあるデイヴィスに位置し、私が通ったサクラメントキャンパスはそこからさらに東に車で30分ほどの場所に位置します。サクラメントキャンパスにはUC Davis Health(UCDH)として医学部や病院、研究施設などの医療系機関が数多く存在し、私はその中にあるBiochemistry and Molecular medicine departmentにて教授であるAiming先生のもと研究を行いました。
学習面について:
私は主に遺伝子の発現を抑制するRNA干渉(RNAi)という現象を利用した新規治療薬の開発について勉強しました。具体的には非小細胞肺癌の免疫逃避機構を担う免疫チェックポイント分子であるPDL-1を標的とし、留学先の研究室で既に作成されたBioengineered RNA(BioRNA)を肺癌細胞内に導入することで、その発現が抑制されるかどうかを確認するという研究を行いました。また、BioRNAの作成方法についても勉強し、シークエンスのデザインから実際の作成段階まで経験しました。その他、学会に参加させていただく機会が何度かあり、アメリカおよび他国の若い研究者たちが日々どのような研究を行っているのかを多くのセッションや交流を通して知り、研究への興味が高まりました。また、研究以外にも病院内の回診や医学部の授業に参加し、アメリカでの臨床や医学生の普段の勉強の様子を覗かせていただきました。特にアメリカの医学生は大学を卒業した後にメディカルスクールに入学していることもあり、医師になる自覚をもって普段の勉強や実習をより実践的に学んでいる学生が日本の医学生より多いと感じ、日本との意識の違いに驚きました。2ヶ月通して大変学びが多く、有意義な留学になったと感じています。
生活について:
私は5人のルームメイトとともに一軒家で生活していました。徒歩圏内にスーパーがあり、またルームメイトが車を出して少し遠くの品揃えが良いスーパーまで連れて行ってくれることもあったため、生活には特に困りませんでした。アメリカは日本よりも物価が高いですが、自炊をすればある程度出費を抑えることができました。またカリフォルニアは果物が大変安価で美味しく、種類も豊富であったため普段日本にいるときよりもよく果物を食べていました。ルームメイトは優しく素敵な方達ばかりで、休日はよく一緒に出かけていました。特にphysician assistantの学生で歳も近い男子とは気が合い、他愛もない話から将来の話など深い話もして仲良く過ごしていました。
留学で得たこと:
今回の留学は私にとって初めての海外留学であったため、留学できることへの喜びと期待が大きく、2ヶ月間という短い期間の中でできるだけ多くことを経験し、学び、吸収したいと思っていました。そのため、留学期間は常に外に注意を向け、新しいことにたくさん挑戦するよう意識しました。その結果、新しい出会いが生まれ、それまで経験しなかったことを経験し、先述したことやそれ以外にも多くの学びがありました。そういった姿勢は大学入学時にも多少ありましたが、松本での生活が慣れてくるうちにいつしかなくなっていました。今回の留学を踏まえ、改めて周囲にアンテナを張り、新たなことに臆せず挑戦することの大切さを学びました。また、より重要なこととして、挑戦する自分に満足するのではなく、経験したことを踏まえて何を学び、将来の自分にどう活かせるかを意識するべきだと感じました。今回の留学で私は大変多くの新しいことを経験しましたが、それをただ経験したという事実で終わらせるのではなく、そこで学び、感じたことを今後の自分の糧とし、勉強への姿勢や医師としての考え方に活かしていきたいです。
後輩へのアドバイス、奨学金システムへ一言:
医師となってから具体的な目的意識を持って留学する場合と異なり、まだ専門分野や将来の道が定まっていない学生のうちに留学する場合は、その理由が英語を伸ばしたい、異文化交流をしてみたい、研究をしてみたい、といった抽象的で曖昧なものになりがちだと思います。しかし、私はそれでも十分学生のうちに留学をする意義があると思います。留学によって知らない自分を知り、価値観、物事への取り組む姿勢、そして将来の選択肢が大きく変わりうるからです。その先の人生で、自分次第であのとき留学をしてよかったなと思うときがきっと来ます。少しでも留学に興味がある人は、是非思い切って挑戦してみてください。