材料加工学研究室
2023年度 JKA補助事業の成果
自転車等機械振興補助事業 「2023年度 コールドスプレーによるセラミック基板とアルミニウム皮膜の異材固相接合機構の解明 補助事業」成果
この補助事業は,主に以下の3点の研究課題を行い,その概要と成果を報告します.
また,この補助事業に感謝の意を表します.
1)アルミニウム皮膜とセラミック基板における基板予熱の密着せん断強度の測定に関する研究(引張試験による密着力,後熱処理の影響も含む)
・接着剤を使用すると40MPa程度以上の密着力が測定できないため,皮膜のせん断強度試験装置(治具)を導入した.せん断試験を行うには膜厚150μm以上が必要であることがわかった.
・成果の一部を以下で発表を行った.
a)低圧コールドスプレー法による窒化アルミニウム基板上のアルミニウム皮膜の密着力に及ぼす膜厚の影響(日本機械学会年次大会,2023年9月6日,都立大,S042p-02)
b)低圧コールドスプレー法による窒化アルミニウム基板上のアルミニウム皮膜の密着力に及ぼす後熱処理の影響(日本機械学会北陸信越支部2024年度合同講演大会,2024年3月8日,富山県立大学,U097)
2)コールドスプレーと高速フレーム(HVAF)溶射によるアルミニウムとセラミックの複合皮膜の作製と評価
・コールドスプレーで,アルミニウム合金(Al-12Si)にセラミック(SiC)を添加して耐磨耗特性に優れる複合皮膜を作製・評価している.
・高速フレ-ム溶射では,アルミニウム合金(Al-30SiとA7075)に,固体潤滑剤である二硫化モリブデン造粒粉を添加して,耐磨耗特性の優れた皮膜を目標に検討した.二硫化モリブデンは昇華などせずにほぼ添加した量が皮膜中に残った.
・成果の一部を以下で発表を行った.
3)コールドスプレーによる銅造形体の作製と評価
・コールドスプレー矩形断面ノズルでの末広部と平行部の長さの比が,銅皮膜のスプレーパターンに影響を及ぼし,より平坦なパターンで造形を行った.
・成果の一部を以下で発表を行った.
4)その他
a)この補助事業により,6軸ロボットを導入することができ,これまでのXYの2軸ロボットに比べて,溶射ガンの動作できる自由度が増して,3次元の造形なども行えるようになりました.
b)上記1)の研究課題のため導入した皮膜せん断強度測定装置(Shear Module)を設置した薄膜密着強度測定機(Quad Group社 ROMULUS)