北海道西興部村においてヒグマと人間の活動パターンの関係性を報告
野生動物管理学研究室の池田敬助教らの研究チームは、北海道西興部村において、ヒグマと人間の活動パターンの関係性を報告しました。
近年、ヒグマの生息数は北海道各地で増加し、それに伴い人身被害や農作物被害も増加しています。
このような人間とヒグマの軋轢を緩和するための効果的な対策の立案には、ヒグマの活動パターンの把握が重要となります。
人間に対するヒグマの馴化は、ヒグマの活動パターンを変化させ、人身被害に繋がる可能性があります。しかし、北海道におけるヒグマの活動パターンや馴化に関する情報は不足しており、特に、ヒグマの活動パターンと人間活動を直接的に比較した事例はありませんでした。
そこで本研究チームは、北海道西興部村で秋季において10年間カメラトラップ調査を実施し、ヒグマと人間の活動パターンを調査し、両者の関係性を量的に評価しました。
その結果、主にヒグマは夜間、人間は日中に活動し、両者の活動パターンの重複率は低く、ヒグマが人間活動を忌避しながら活動していることが明らかになりました。しかし、ヒグマは日中にも活動しており、日の出・日の入り時刻の前後は人間と遭遇するリスクが高いことが示唆されました。
以上より、人間とヒグマの軋轢を緩和するためには、地域住民や狩猟者は、こうしたヒグマの生態を理解する必要があります。また本研究は、ヒグマの活動パターンを考慮した効果的な対策を立案するための一助になると考えられます。
本研究成果は、2025年4月18日に日本動物行動学会の国際誌「Journal of Ethology」に公開されました。詳細は以下をご覧ください。
タイトル:The relationship of activity patterns between brown bears and humans in eastern Hokkaido
著者:Takashi Ikeda 1, Yukiko Matsuura 2
著者所属:1信州大学学術研究院(農学系),2国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所北海道支所