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柴田久夫名誉教授が瑞宝中綬章を受章されました

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 平成28年秋の叙勲において、信州大学農学部 元教授の柴田久夫名誉教授が、瑞宝中綬章を受章されました。瑞宝章は「国及び地方公共団体の公務」または「公共的な業務」に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた人に贈られるものです。
 柴田名誉教授は、日本産フキ(Petasites japonicas Maxim.)について1970年から1977年にかけて本邦を中心に採集し、サンプル120点を得ました。そして、このサンプルの成分分析を行った結果、日本産フキやその化合物の生合成に関して多くの知見が得られました。
 また、イボタケ科担子菌ケロウジ(Sarcodon scabrosus)より、1989年にジテルペン化合物であるsarcodonin類を初めて単離し、それ以来多数の類縁化合物を見出しました。これらの化合物は非常に強い炎症抑制活性を有しており、強い抗腫瘍活性や神経細胞伸長活性もあることにより、大変注目を集めています。2000年には、チチタケ科担子菌ムラサキイロガワリハツ(Lactarius repraesentaneus)より、セスキテルペン化合物3種を単離しました。これらの化合物のうち、1種は新規化合物であり、レタスの芽生えに関して顕著な根の伸長活性を示しました。このように、柴田名誉教授は植物や担子菌類(きのこ)より、顕著な生物活性を有するテルペン化合物を数多く単離し、化学の発展に貢献されました。
 今回の受章は、柴田名誉教授が長きにわたって研究や教育に携わり、多くの業績を残すとともに、多くの有為な人材を社会に送り出した功績が認められたことによるものです。

※テルペン...テルペンはイソプレンを構成単位とする炭化水素であり、植物や昆虫及び菌類などによって作り出される生体物質である。

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