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農学研究科大谷教授が平成22年秋の紫綬褒章を受章

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     花束を受ける大谷教授(右)
     花束を受ける大谷教授(右)

 

2010年秋の褒章で、信州大学大学院農学研究科機能性食料開発学専攻教授、食料保健機能開発研究センター長の大谷 元 教授が紫綬褒章を受章しました。紫綬褒章は、学術研究、芸術文化、技術開発、スポーツにおいて著しい業績をあげた人に贈られるものです。

 

大谷教授は、ミルクタンパク質、とくに牛乳タンパク質とその消化物が動物の免疫系に及ぼす影響を系統的に調べ、主なミルクタンパク質の食品としての免疫学的意義を提案しました。例えば、主要牛乳タンパク質の抗原性の検討結果に基づいた、1990年の牛乳アレルギー予防乳のタンパク質源としてのペプチドの最大分子量は3,500という提案は、企業によるアレルギー予防乳の製造・販売につながりました。今でもこの分子量は牛乳アレルギー予防乳の一つの指標になっています。また、ミルクの主要タンパク質の消化により生じるカゼインホスホペプチドは腸管の主要抗体であるIgAの産生を促すという1998年の発見は、そのメカニズムの解明や家畜での経口投与による効果の確認へと展開されました。その成果は、企業による仔豚用感染予防飼料の製造・販売に生かされました。牛乳IgGの獲得液性免疫調節作用に関する研究成果との関連では、牛乳IgGを豊富に含む食品がスギ花粉症を軽減する傾向にあることが2010年に企業における臨床試験により示されました。 【大谷教授の論文は、SOAR-IR(信州大学機関リポジトリ)で公開されています

 

このような一連の研究成果は、ミルクタンパク質の新生児における生理機能を明らかにするだけではなく、牛乳タンパク質の実用的利用へと展開したものであり、学問的・社会的意義が極めて大きいものです。このようなミルクタンパク質の免疫機能に関する基礎と応用の両分野の実績が高く評価され、今回の受章になりました。

 

大谷教授のコメント 

「研究室の恩師および先輩の先生方、研究室を専攻してくれた学生諸君、並びに他大学や企業の共同研究者の皆様との永年の研究成果が評価されて非常に光栄です。この栄誉を共同研究者の皆様と分かち合うとともに、深く感謝申し上げます。合わせて、ご支援いただきました信州大学職員の皆様、関係学会や諸企業の皆様、さらには暖かなご声援をいただきました地域の皆様に心から御礼申し上げます。」

 

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