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令和7年度「農林フィールド基礎実習」を実施しました

お知らせ演習林系の実習

樹木の観察 (10月4日)
樹木の観察 (10月4日)
箕輪町郷土博物館の見学(10月5日)
箕輪町郷土博物館の見学(10月5日)
箕輪町の水路「大堰」の見学(10月5日)
箕輪町の水路「大堰」の見学(10月5日)
鳥類調査(10月11日)
鳥類調査(10月11日)
資源植物の採集と調査(サルナシを食べているところ:10月12日)
資源植物の採集と調査(サルナシを食べているところ:10月12日)

1.演習名
農林フィールド基礎実習

2.授業の達成目標
農林業や緑地管理とかかわる植生や植物についての基礎的素養と、調査・観察するための着眼点および方法を習得する。植物以外の野生生物や地形、河川などについても基礎的な知見を身につける。これにより、自然環境を多角的な視野でとらえる素養や、今後の各種フィールドでの活動に必要とされる地図読み能力と安全確保の意識も身につける。 また、本実習を通じて学べるSDGsの目標としては、目標2 [飢餓](飢餓をゼロに)と目標15 [陸上資源](陸の豊かさも守ろう)の2つを挙げている。

3.実施日
令和7年10月4日・5日、11日・12日 4日間(土・日×2回)

4.実施場所
10月4日:信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)構内ステーション
10月5日:箕輪ダム、東山山麓、箕輪町郷土博物館(上伊那郡箕輪町)
10月11日:AFC構内ステーション、農学部近郊(戸谷川)
10月12日:AFC西駒ステーション、高烏谷山(伊那市~駒ヶ根市)

5.実施概況

【実習の概要】
他大学学生として、2大学から計2名が集まった。実習指導は、教員3名(荒瀬輝夫准教授、岡野哲郎教授、内川義行准教授)の他、ティーチング・アシスタント3名(大学院修士1年生、学部4年生2名)を加えて実施した。 受講者向け「受講案内」(9月12日版)の授業計画を、予定通りに実施した。天候は1日目・2日目に不安定(曇り~小雨)であったが、気象庁の雨雲レーダー等を確認しながら臨機応変に野外に出るようにしたため、雨による支障を概ね避けることができた。

(実習スケジュール)

10/4(土)担当:荒瀬

10:00~10:30
移動、受付等

10:40~12:10
ガイダンス(農学部・伊那谷のフィールドの概説、実習内容の紹介、フィールドでの調査・安全対策・マナーの準備)

13:00~16:10
森林と樹木の見方(構内演習林、植物分類・検索入門・樹木の観察)

16:20~
1日目のまとめ

10/5(日)担当:岡野・内川・荒瀬

9:00~16:10 森林と農地のつながり
水源から下流への水の流れを通じて、森林と農地のつながり、人の役割について現地を巡検して学ぶ(箕輪ダム、箕輪町郷土博物館、箕輪町東山山麓)

16:20~
農学部へ移動、2日目のまとめ

10/11(土)担当:荒瀬

9:30~12:10
鳥類調査(構内演習林、野鳥についての概説・調査)

13:30~16:40
農地・緑地の見方(戸谷川河畔林、植生の概説・植生図作成)

16:50~
2日目のまとめ

10/12(日)担当:荒瀬

9:00~12:10
初歩 地図読み演習(地図の読み方、迷った時の対処法の概説と実践)

13:00~16:10
資源植物の観察(食用・薬用植物の概説、西駒演習林での採集・調査)
※早めに予定内容が進行したため、伊那谷を一望できる高烏谷山(たかずやさん:標高,1331 m)まで車で移動し、引き続き資源植物を観察した。

16:20~
農学部へ移動、3日目のまとめ、閉講式・解散

なお、実習アンケートとして、最終日の終了時に、開講内容についての評価(満足度と有益さ)、意見や要望等の自由記述を受講者に記入・提出してもらった。回答率は100%であった。なお、体調不良により最終日を欠席した1名については、後日、メールでファイルをやりとりすることで回答してもらった。

【成果と課題】

(1)実習の成果
実習を通して受講者に緊張疲れや戸惑う様子は見受けられず、最後まで熱心に聴講・実習に取り組んでいた。実習中に危険回避や感染予防について注意喚起が必要になるような場面もなく、実習予定時間の短縮や休憩時間の延長などの措置も講じずに済んだ。これには、受講学生の前向きな姿勢や関心の深さと、ティーチング・アシスタントの本学学生のサポートの寄与も大きい。

実習アンケートについて、参加者(回答者)が2名のみだったため、集計結果を内訳%で示すことはせず、評価のコメントを示すこととする。

a.実習内容
いずれの実習内容についても、ほぼ「大変満足~満足」という評価をいただいた。

(森林と樹木の見方)
・身近にありながら普段よく分からなかった木の種類と、どこを見れば見分けられるかを学べた。
・木々があるところでたまにする甘い匂いが桂のものだと分かった。

(森林と農地のつながり)
・ダムから始まって、水の流れを追いながら、水路と人々の暮らしの繋がりを実感できた。これからの環境政策の課題について考えられた。

なお、鳥類調査、農地・緑地の見方(植生図作成)、地図読み演習、資源植物の採集と調査については、とくにコメントはなかった。

b.演習参加後に興味関心が増したSDGsの目標(複数回答)
目標15 [陸上資源]を2名とも答えており、目標2 [飢餓]は1名であった。

(コメント)
・森林のつながりに目を向けてみて、里とのつながりを考えることが大切だと思った。このことから資源活用の見直しができると思った。
・農業や林業の従事者が減少し、高齢化している。産業を守るためにも、里山の環境を守るためにも、地方自治体に暮らす人々を守るためにも、農業や林業人口を増やすことが必要になっている。

c.演習参加後に興味関心が増したこと(複数回答)
農林業を2名とも答えており、河川・水路、自然環境、動物・植物は1名ずつであった。

(コメント)
・森林についてもっと知りたくなった。
・今回農学の視点から自然と人間との繋がりを学ぶことができ、勉強になった。農業・林業や水路については初めて聞く話が多かったし、自分の大学で学んでいる自然環境や動植物についても、人間とどう関わっているかということが考えられ、視野が広がった。

d.その他
演習の内容、指導等についての要望、改善点については、とくにコメントはなかった。

フィールド、施設、設備についての要望、改善点について、1件のみ「施設をもう少しきれいにしてほしい」とのコメントがあった。

(2)次年度に向けての課題
今年度、着実に外部から2名の学生の受講があり、熱心に取り組んで好意的な評価をしていただけたことの意義は大きく、今後につながるものと期待される。少人数での実習のよさ(小回りが利き、野外でもコミュニケーションをとりやすい等)や、天候不順でも臨機応変に野外実習を実施したことが効果的だったものと考えられる。

また、アンケートでの施設(西駒ステーションの桂小場宿舎)についての要望は、おそらくトイレの生活害虫のことであり、次年度に向けて確認・検討する。

一方、今年度は開講7年目で、年度初めに例年どおり実習の広報と受講者誘致(長野県内のコンソーシアム大学向けの実習紹介)を試みたが、残念ながら長野県内コンソーシアム大学からの参加者がなかった。この点については、広報活動だけでなく、情報収集やニーズの把握などを進めて対応を検討していくことが必要であろう。

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