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令和5年度「高冷地域生物生産生態学演習」を実施しました

お知らせ農場系の実習

キャベツ出荷ケース作成の様子
キャベツ出荷ケース作成の様子
キャベツ収穫の様子
キャベツ収穫の様子

1.演習名
「高冷地域生物生産生態学演習」

2.演習の目的
野辺山農場及び構内農場において,演習では収穫体験を主として農から食への過程を体験的に学習し,園芸作物生産の基礎知識を習得する。高冷地域の植物生産と動物生産を複合的に学ぶことで,「食の安全,安心,安定生産」や「環境保全」などの分野に対する理解をより深める。

3.実施日
令和5年9月4日(月)~9月7日(木)

4.実施場所
農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
野辺山ステーションおよび構内ステーション

5.担当教員
春日重光,今井裕理子,荒瀬輝夫,椎葉湧一朗

6.参加人数
53名

7.演習内容の概要

【1日目】今回はコロナが第5類になったことを受け,実習の前半(1日目・2日目)を野辺山ステーションに来場し,演習を行った。午前中に講義室で野辺山地域の気候と特徴を説明し,高冷地農業として高原野菜生産システムおよび複合農業についての講義を行った。午後からは,JA出荷場および農家見学を予定していたが,悪天候のため農家見学は行わずJA出荷場の見学を行った。その後,野辺山ステーションにて使用機械についての紹介・説明を行い,家畜の紹介を行った。

【2日目】午前中から午後までを通し,キャベツの収穫および出荷を行った。参加者53名全員で合計120箱のキャベツを収穫し,出荷した。作業終了後,利用した宿泊施設の清掃を行い,伊那キャンパスへ帰学した。

【3日目】この日から構内農場に移して実施した。
午前中は松川町の信州まし野ワインを見学,ワイナリーの施設,果樹園の土壌管理、商品の説明を受けた。午後は野菜の播種およびイチゴ・シクラメンの栽培管理を行った。

【4日目】午前中は構内農場周辺の野生生物の観察および調査を行った。午後はレポートを作成した。

8. 成果

8.1. 全体的な評価
今回の演習内容について,演習の楽しさに関しては大変満足が参加者の83%,満足が17%(図1左),また有益さに関しては大変有益が参加者の81%,まあまあが19%(図1右)と全体的な評価は高かった。

図1)演習の楽しさと有益さについて.jpg

これらの評価が高かった理由において,1日目2日目の野辺山演習では普段学ぶ機会がない高冷地の作物生産システムについて学べたこと,JA出荷場見学ができたことが挙げられた。初めて野辺山を訪れた学生も多く,高評価な意見が多かった。

一方,普段の実習を行っている構内ステーションでも,ワイナリーの見学等も通じて農家経営,流通,加工,さらには環境問題などを考える機会になった。

8.2. 各演習内容について

図2)各実習・講義の評価.jpg

野辺山ステーションでは,高冷地作物であるキャベツの収穫作業において多くの参加者が満足したようであった。生産農家と出荷場の見学においても,大変満足や満足の回答が多かった。初日に出荷場見学を行い,その後キャベツの収穫から出荷までを体系的に経験できたことで,初見で出荷場へ出荷するよりも流通の仕組みが良く理解できたのではないだろうか。一方で,見学においてもう少し作業場などの詳しい様子や実際に作業している様子も見てみたいとの声もあった。また,悪天候のための生産農家見学ができずに不満と感じた参加者が少数おり,悪天候時の演習内容予定改善の余地が考えられた。

構内ステーションでは,普段の農場実習とは異なる内容もあり,いつもとは違った視点で実習に取り組めた。

8.3. 演習後,興味関心が増した事
演習後に興味関心が増した事については高い順に,農業35%,高冷地18%,食料16%,野菜15%,環境10%,家畜4%,その他1%,ない1%という回答結果になった(図3)。

図3)演習参加後に興味・関心が増大した事.jpg

今年度の演習は,新型コロナウイルスが5類感染症となったこともあり,本演習の前半2日間は野辺山ステーションにて宿泊を伴う日程で行った。そのため,昨年度はビデオ視聴のみで叶わなかった高冷地でのキャベツ収穫や出荷を実際に体験しながら学習できた。また,JA長野八ヶ岳営農指導員に直接話を聞きながら見学できたことは,現場のリアルな声を聞くことができる非常に貴重な経験であったといえる。また,今回の参加者は森林・環境共生コースや生命機能科学コースが多く,専門分野が違うため,農家の仕事の大変さを知ることができたとの声が非常に多かった。同じ農学部に所属していても,全く知らない専門外の分野においてこのように見聞を広げることは,参加者の将来の選択肢を広げることにつながる。今後,本演習で学んだ知識や経験を活かして農学を学んでほしいと考える。

構内ステーションでは農家見学等も通して,生産,流通さらに環境について考える機会となったようだ。

9. 今後の予定と改善点

今年度の演習は,新型コロナウイルスが5類感染症となったため,2日間を野辺山ステーション,2日間を伊那キャンパスで行った。アンケートでも,野辺山で演習できたことが良かったという声もあったことから,今後もこのスケジュールで演習を実施することが望ましいと考える。改善点としては,日程や持ち物についての事前情報が少なく混乱していた学生もいたため,宿泊を含む演習では日程や持ち物についての情報をできるだけ詳細に学生へ周知させる必要が考えられた。さらに,雨天時の演習内容のレパートリーが少なかったことも反省し,来年度以降は天候に左右されても充実した演習が行えるよう改善していきたい。

また,構内ステーションでは,流動的な内容も多く,今後核となる内容も考えていきたい。

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