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令和4年度「木材工学演習」を実施しました

お知らせ演習林系の実習

製材機の説明(1日目)
製材機の説明(1日目)
自動かんな盤加工(1日目)
自動かんな盤加工(1日目)
スライド丸鋸を用いた加工(2日目)
スライド丸鋸を用いた加工(2日目)
鋸を用いた加工(2日目)
鋸を用いた加工(2日目)

1.演習名
「木材工学演習」

2.実習目的
各種の木材加工の道具・機械を用いて演習林のヒノキ間伐材を加工し、一定の構造物(ベンチ)を作製する。そして、基礎的な木材加工技術を修得するとともに、樹木が生命活動によって生産する生物材料である木材の構造と性質について理解することを目指す。

3.実施日
令和4年8月23日(火)~26日(金)

4.実施場所
農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
構内ステーション

5.担当教職員
細尾佳宏准教授、小林 元准教授、末定拓時助教、宮本裕美子助手、酒井敏信研究支援推進員、ティーチング・アシスタント1名

6.参加人数
2名

7.概要
【1日目】
初めに開講式ならびに安全講習を行った。次に、木材の構造と性質についての講義を行った後、製材機を使用した製材デモンストレーションを行った。そして、その中で材の完満度、歩留りなど、演習で使用する丸太について説明を行った。続いて、木工機械の説明を行った後、あらかじめ製材・皮むきされたヒノキ太鼓材の自動かんな盤加工を行った。この加工を行った太鼓材を使用して、ベンチを作製することとした。その後、過去の受講生が作製したベンチを見学し、必要に応じで採寸することにより、受講生自身が作製するベンチの構想の検討を行った。そして、作製するベンチの図面を作成し、図面をもとに木取図を作成した。

【2日目】
まず、手道具などの工具の説明を行い、続いて墨付け道具の説明を行った。その後、1日目に自動かんな盤加工した太鼓材に墨付けを行った。そして、同じく1日目に作成した木取図をもとに、座面、脚部、背もたれなどの各部材の木取作業を行った。次に、スライド丸鋸の説明を行い、実際にそれを使用して太鼓材を各部材に切り分けた。その後、鋸、ボール盤、鑿を用いて仕口の加工・調整を行った。並行して、サンドペーパーで各部材の曲面を磨き、仕上げ作業を行った。

5.ボール盤を用いた加工(2日目).jpg  6.鑿を用いた加工(2日目).jpg

(左)ボール盤を用いた加工(2日目)
(右)鑿を用いた加工(2日目)

【3日目】
まず、電動工具の説明を行った。そして、2日目から引き続きサンドペーパーで各部材の曲面を仕上げるとともに、必要に応じてカービングディスクで加工を行った。また、ランダムサンダー、ミニサンダーを用いて、各部材の平面の仕上げを行った。その後、インパクトドライバー、木工用ドリル、下穴錐、コーススレッドなどを用いて脚部の組み立てを行い、続いて脚部に座面を取り付けた。次に、背もたれ部材の墨付けを行い、加工を行った。加工を行った後、取り付け作業まで行った。3日目にしてほぼ完成形ができ、良好な進行状況となった。

7.電動工具を用いた仕上げ(3日目).jpg  8.脚部の組み立て(3日目).jpg

(左)電動工具を用いた仕上げ(3日目)
(右)脚部の組み立て(3日目)

9.座面の取り付け(3日目).jpg  10.背もたれの取り付け(3日目).jpg

(左)座面の取り付け(3日目)
(右)背もたれの取り付け(3日目)

【4日目】
3日目に引き続き、サンドペーパー、電動工具を用いて仕上げ作業を行った。その後、仕上がり、がたつきの確認を行い、続いて塗装工程の説明を行った。各部材の含水率が高かったため、演習内では実際の塗装作業は行わず、説明のみとした。その後、加工で生じた端材を用いて小物作製を行った。最後に授業アンケートおよび閉講式を実施し、演習を終了した。

11.完成したベンチ(4日目).jpg

完成したベンチ(4日目)

8.感想・今後の展望と課題
受講生2名とも、最後まで熱心に演習に取り組んでいた。そして、作業中に体調不良になることも怪我をすることもなく、演習を終えることができた。授業アンケートでは、「各講義・実習の評価」の6項目全てで2名とも「大変満足」・「大変有益」と回答した。「大変貴重な経験だった」、「人間工学に基づいて人が座りやすい形を考えるのが学習になった」、「実演での説明もあり、大変分かりやすかった」などの好意的な意見が多く挙げられ、受講生にとって有意義な演習であったことが伺われた。「演習の内容、指導等についての要望、改善点」については、特に指摘はなかったが、継続して演習内容の検証・必要に応じた見直しを行い、演習の質的改善・向上に努めることが必要と思われる。

今年度の演習では、鑿による怪我の発生リスク低減を目的に、ボール盤を用いた加工を導入した。それにより、受講生の鑿による怪我を防止することができた。また、仕口の加工精度が向上し、加工時間も短縮された。来年度の演習においても、ボール盤を使用することにより怪我の防止や演習の良好な進行につながることが期待できる。

今後の課題としては、より多くの受講生の獲得が挙げられる。そのためには、まず農学系・森林系の学部・学科を持つ大学へのさらなる広報が必要と考えられる。さらに、農学系・森林系だけでなく、工学系・建築系の学生、さらには文系の学生への広報も必要になると思われる。広報の幅を広げ、より広い分野の学生に本演習を認知してもらうことにより、興味を持つ学生が増えて受講生の増加につながることが期待される。

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