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令和3年度高冷地先端農業特別演習を実施しました

お知らせ農場系の実習

牧草地の空撮画像(高度20m)
牧草地の空撮画像(高度20m)
チカラシバ発生マップ
チカラシバ発生マップ
牧草地の植被率の推定
牧草地の植被率の推定
デントコーン群落の計測
デントコーン群落の計測

1.演習名
高冷地先端農業特別演習

2.演習の目的
小型無人ヘリ(ドローン)は,データ取得時期を自由に選び,航空法で定められた飛行高度から鮮明な空撮画像を取得でき,農地やその周辺環境の観測に活用できる。リモートセンシングによって,農地を対象にした効率的な生産情報の収集・評価を行うための基本技術を習得する。ここでは準高冷地における牧草地の観測を実際に行い,ドローン機材の特徴,撮影方法,画像解析技術を学び,現地調査を行いながら,画像から読み取れる情報の解析と評価を行う。

3.実施日程
2021年9月1日(水)~3日(金)
注)今年度はコロナ感染防止のため、日帰りで実施。

4.実施場所
農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
構内ステーション
注)今年度はコロナ感染防止のため、構内ステーションで実施。

5.担当教員
渡邉 修准教授

6.参加人数
14名(農学専攻11名、総合人文社会科学専攻2名、工学専攻1名)
※他大学からの受講希望者が4名(公立諏訪東京理科大学1名、筑波大学2名、静岡大学1名)いたが、新型コロナウイルス感染症拡大の状況を鑑み、受入を中止した。

7.演習内容の概要
信州大学農学部(伊那キャンパス)の牧草地でドローンを用いた空撮とセンシングを行い,牧草の被度,草高,バイオマス量,植生指数,雑草検出に関する技術を学んだ。検出対象の雑草はイネ科のチカラシバである。QGISを用いて牧草地に侵入したチカラシバの発生マップを作成した。RTKドローンによる測量空撮画像からDSM(数値表層モデル)を作成し、ソバおよび飼料用トウモロコシの群落高の推定を行った。

【1日目】
午後:ガイダンス(課題設定),空撮の実施,画像処理

【2日目】
午前:QGISを利用した画像解析
午後:QGISを利用した画像解析、測量用空撮画像の処理と解析

【3日目】
午前:ドローンを利用した地域課題解決に関するオンライン授業,レポート課題の実施。

8.演習の成果
信大農学部附属農場の牧草地を対象に、DJI製のPhantom4 Proを用い、低速度(1~2)m/s)でドローンを低空(対地高度20m)で飛行させ、4752m2の牧草地の撮影を行った。画像の解像度は0.55cm/pixで、画像からイネ科雑草チカラシバの検出を行った。QGIS(地理情報システム)を用いて2mグリッドでチカラシバ発生割合を数値化し、グリッドベースのマップを作成した。RGB画像から可視⼤気抵抗指数(VARI)を計算し、グリッドごとの植被率の推定を行い、牧草地の植被率マップを作成した。

測量用のドローンを用いて、附属農場のソバおよび飼料用トウモロコシ圃場の撮影を行った。DSM(数値表層モデル)画像から地面高を計測したのち、平均群落高の推定を行った。画像の測量値と実測値の差が数センチであり、非破壊で群落高の計測が可能であることが示された。

9.まとめ
これまで植生調査や雑草発生調査はコドラートなどを用いて直接観測することで実施されてきた。ドローンを用いた高解像度空撮画像を適切に処理することで、面的な情報を効率的に取得し、新しい植生調査法として利用できる。今回の演習で空撮画像処理法とオープンソースの地理情報システム(QGIS)を活用したデータ解析のスキルを習得することに繋がった。

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