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令和3年度「木材工学演習」を実施しました

お知らせ演習林系の実習

図1:製材機デモンストレーション。現役の送材機に注目
図1:製材機デモンストレーション。現役の送材機に注目
図2:自動かんな盤で厚さ調整
図2:自動かんな盤で厚さ調整
図3:含水率。2日目以降も計測して素材が乾燥する様子を確認
図3:含水率。2日目以降も計測して素材が乾燥する様子を確認
図4:木取り作業。素材の中心に墨付け
図4:木取り作業。素材の中心に墨付け
図5:指定の長さに丸鋸で鋸断。長さ方向に対する鉛直が肝要
図5:指定の長さに丸鋸で鋸断。長さ方向に対する鉛直が肝要

1.演習名
「木材工学演習」

2.実習目的
各種の木材加工の道具・機械を用いて演習林の間伐材を加工し、一定の構造物(ベンチ)を作製する。そして、実際に木材に触れながら、木材加工の基礎的な手法を習得するとともに、樹木が生命活動によって生産する生物材料の木材について構造と性質を理解することを目指す。

3.実施日程
令和3年8月31日(火)~9月3日(金)

4.実施場所
農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
構内ステーション

5.担当教員
細尾佳宏准教授、小林 元准教授、大塚 大助手

6.担当職員
酒井敏信

7.参加人数
信州大学工学部2名
※他大学からの受講希望者が4名(京都大学1名、筑波大学2名、北海道大学1名)いたが、新型コロナウイルス感染症拡大の状況を鑑み、受入を中止した。

8.実習内容
 R3日程表.jpg

9.概要
【1日目】
初めに、開校式ならびに安全講習を行った。木材の特徴について講義を受けたのち、製材機のデモンストレーション(図-1)を見学し、演習で使用する原材料の丸太についてレクチャーを受けた。
その後、過去の作品を参考としながら設計図を作成し、木取り作業に取り組んだ。木取りとは用意された部材を作品のどこに使用するか検討する作業で、受講生は平面の大きさや節の有無、木目の現れ具合などを協議しながら割り振りは進められた。

【2日目】
昨日の続きから始まり、電動丸鋸を使用して指定の長さに素材を鋸断(図-5)、実物を接合予定箇所にあてて正しく採寸できているか確認した(図-6)。午後にはのみ加工(図-7)と表面加工が進められ、仮組みを行った(図-8)。終了時刻にはすべてのパーツが揃った。

図6.jpg  図7.jpg

(左)図6:部材の長さを確認。長さが足りないと組めない
(右)図7:のみ加工。木材の繊維方向に注意して掘る

図8.jpg  図9.jpg

(左)図8:うまく組み合わさるか確認。必要に応じて微調整を行う
(右)図9:節を削る表面加工。回転工具なので素手で行う

【3日目】
ボルトで各部材を固定する本組みを行った(図-10)。そののち、参加者の個性が現れる背もたれについて検討・加工作業を行い取り付けまで終了した。3日目にして完成形ができる良好な進行状況となった。

図10.jpg

図10:本組み開始。底面のベニヤでレベルを確保

【4日目】
座面がレベルとなるように最終的な削り取り作業を行い、塗装工程に移行(図-11)、事故なく作品は完成した(図-12)。

図11.jpg  図12.jpg

(左)図11:塗装。心材と辺材との浸透速度の違いを確認
(右)図12:完成

全日程を通じて、適宜使用する工具の説明が行われた。受講生は危なげなく使用していたことから、事前の映像教育と直前のデモンストレーションが安全な演習の運行に有効であったと考えられる。
今年度はCOVID-19の対策から受講制限が発生してしまい、限られた人数の中サポートとして参画したTAの協力でスムーズな進行だった。ここに記して感謝申し上げる。

10.感想・今後の展望と課題
本演習の目的について、授業アンケートからみてもよく達成したと判断する。内容についても肯定的な意見が占めた。受講生の演習参加後の関心に道具の使い方、木材の種類と性質、木材加工が挙げられた。今年度の演習は人数が少なく、常に受講生と連動して質疑に対して柔軟な対応ができたことも関心を引き出した要因として考えられる。演習をきっかけに木質利用への関心が高まることは望ましいので、多人数の場合でも対応可能なように引き続きe-learning教材の拡充を行いたい。

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