センパイの肖像

世界に読まれるもの、歴史の行間に埋もれた人、そして敗れざるものを書きたい。 仁木英之さん

世界に読まれるもの、歴史の行間に埋もれた人、そして敗れざるものを書きたい。 仁木英之さん

仁木さんは、作家デビュー以来、授業やキャンパスフレッシュセミナーの講師など、松本キャンパスには幾度か足を運ばれ、よく知られている信大OBの一人。
今回は、作家業に興味津々の学生3人と主に小説を書くことについて話を伺った。

                                                                              ・・・・・信大NOW60号(2009.11.26発刊)より

作家になるまでのお話

信大生協の店頭にあった仁木さんの本
信大生協の店頭にあった仁木さんの本。手前左『朱温』(朝日新聞出版)は、梁の初代皇帝・朱全忠の生涯を描く歴史巨編。右『千里伝 五嶽真形図』(講談社)はファンタジー。取材翌日に発行された(10月27日)。

山好きのお父さんに連れられて、幼いころからスキーなどで信州に来ていたという仁木さん。
信大への志望動機は「雪が降るから」だった。お父さんの影響で読み始めた「三国志」など、すでに中国文学に浸かっていた仁木さんは中国文学を専攻、在学中 2年間の中国留学をする。

信大時代に始めた空手は現在の作家生活の側面を支えているという。卒業後は一旦就職するが、独立するという上司について退職。ところが上司と始めた お店は倒産して25歳でフリーターに。アルバイトで夜は家庭教師、昼間は不登校児を担当して勉強を教えるうちに、不登校児の受け入れ先がほとんどないこと を知る。そこで一念発起、不登校児らを受け入れる「ラサ学堂」という塾を始める。

小学4年生から浪人生までを受け入れ8年間経営するが、作家業が本格的になり2年前に塾を閉じた。

小説を書くおもしろさはどんなところですか?

仁木英之さん

物語というのは、まず始めにキャラクターを立てると、それが勝手に動き出します。ぼくはそれを筆で追っているだけ。それは自分の中にある世界で、ぼ くだけが追うことができるものです…そして感動を味わう。これはそれまでの人生の中でなかったこと。

最初にあらすじを作っても、物語が動きだせば、落ちも彼等が作り、自分が思っていたのとは変わっていくんです。もしあらすじ通りに話を展開させたな ら、それは物語ではなく、作り話になるでしょう。ぼくが意図的にするのは、頭の中で繰り広げられている物語が、できるだけわかりやすく伝わるように書いて いくことですね。

書くのに詰まる、悩んでしまうことはありませんか?

ナノグラフィカ喫茶室「金斗雲」

それが、ないんです。ぼくは頭の中に進んでいるイメージを追っているだけですから。イメージがとまったら、走ったり、空手の道場へ行ったり。バーっ と動いて汗かいて帰ってくると、また動き出す。便秘の時は運動すれば治るでしょう、同じ事ですよ。

今は仕事を請けすぎて、体力が持たないことが悩みですね。書き過ぎると脳がオーバーヒートして熱が出るんです。「朱温」を書いていたときには4ヶ月 で1400枚ぐらい書いていましたから、その間、2回熱出して倒れました。

取材場所:ナノグラフィカ喫茶室「金斗雲」(長野市)

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