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構造力学研究室
構造力学研究室

構造力学研究室

概要

現在は、機械構造物の最適設計、形状・振動制御、ヘルスモニタリングなど、数値シミュレーションと実験の両面から研究を実施しています。

「信州大学工学部バーチャルオープンラボ」に掲載している内容は、こちらからご覧いただけます。

  • 最適構造設計

    通常の機械構造物の設計には、安全性・有用性等、さまざまな観点からの制約が加わります。このような制約の下、設計者は設計仕様を満足させるような設計を行っています。例えば航空機構造の設計にあたっては、性能向上・低コスト化等の利点から機体重量を最小化する、いわゆる最小重量設計による軽量化が試みられてきました。しかし、構造の強度向上と軽量化は相反する関係にあることから、安易な軽量化は構造の強度不足や共振等の振動をもたらし、疲労や破壊につながる危険性があります。
    構造物の安全性や有用性を確保しながら、一方でその軽量化・静的特性・動的特性等の改善を合理的に行えるような設計は極めて望ましいものであると考えられます。構造物に所定の安全性や有用性を与えつつ、一つまたは複数の目的量の最適化を図るような設計、いわゆる最適設計技術が非常に重要となります。

  • 形状・振動制御

    構造物の振動特性は、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems ; MEMS)から土木、航空宇宙に至るまで、分野を問わず重要な設計基準となっています。構造物に何らかの外力が作用することによって生じる構造振動は、多くの場合、構造物の性能低下、もしくは疲労や破壊につながる危険性があり、特に構造物の大型・軽量化に伴う柔軟(低剛性)化がすすむにつれてその傾向は顕著なものとなります。そこで、構造物の振動を抑制する、いわゆる振動対策技術が非常に重要となります。
    以前より、構造物の振動特性を改善する方法に関して多くの研究・開発がなされています。これらのうち、振動制御による特性改善は、構造物上の適切な個所に配置されたセンサ・アクチュエータを用い、制御則に基づいて構造物の剛性・減衰特性を見かけ上変化させることによって運用中に生じる構造振動を適宜抑制する方法です。


    振動発電

    1970年代の二度にわたる石油危機や地球温暖化問題を背景に、国内でもエネルギ問題への関心が高まっています。例えば、環境中に存在する未利用エネルギを収穫し、小型電子機器の電源となる程度の量の電気エネルギを生成する発電技術として、エネルギハーベスティングが注目されています。エネルギハーベスティングには、力学エネルギ・電磁波エネルギ・熱エネルギ等を利用するものがあります。
    「形状・振動制御」で触れたように、構造物に何らかの外力が作用することによって生じる構造振動は、多くの場合、構造物の性能低下、もしくは疲労や破壊につながる危険性があり、構造物の振動を抑制する、いわゆる振動対策技術が非常に重要となります。その一方で、構造振動をエネルギ源とした環境発電は、振動エネルギを電気エネルギに変換する素子を用いることにより、避けるべきものとされてきた構造振動を逆に有効利用する技術です。

  • 構造ヘルスモニタリング

    構造物中の微小な損傷が全体的な破壊につながることは、疲労破壊等でしばしば生じる現象であり、過去においても、航空宇宙機の墜落、建築・土木構造物の崩壊等の大事故を生じています。これらの構造物の安全性や信頼性の向上に加え、定期点検等に伴うメンテナンスコストの削減を図るためには、経年劣化や異物衝突等による損傷を非破壊的、自動的、かつリアルタイムで検出する、損傷モニタリング技術が重要となります。
    現在、構造物の損傷検出には超音波・X線・サーモグラフィ等の非破壊検査法が適用されていますが、これらの方法は、運用中の構造物の自動的で実時間の損傷モニタリングには適していないと考えられます。構造ヘルスモニタリングは、構造物内に予め組み込んだセンサの動的応答を用いることによって運用中の構造物の健全性を常時モニタする技術です。