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2019年度「高冷地生物生産生態学演習」を実施しました

お知らせ農場系の実習

キャベツの収穫・箱詰めに挑戦
キャベツの収穫・箱詰めに挑戦
ヤギの爪切りに挑戦
ヤギの爪切りに挑戦

1.演習名
「高冷地生物生産生態学演習」

2.演習の目的
 高冷地という特殊な環境下における、持続可能な農業・食料生産について
 考える機会を創出することが目的である。また、共同作業の重要性を知
 り、協調性を培う機会を創出することも目的である。

3.実施日
 2019年9月2日(月)~9月5日(木)

4.実施場所
 農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
 野辺山ステーション

5.担当教員
 鈴木香奈子助教、濱野光市教授、春日重光教授、関沼幹夫助手

6.参加人数
 43名
 (信州大学農学部36名、繊維学部6名、高崎健康福祉大学1名)

7.演習内容の概要
 【1日目】JA長野八ヶ岳の集荷場と生産者訪問を実施。高冷地農業への理解を深めてもらうため、講義内容は野辺山の高
 原野菜ブランド発足までの歴史や要因に関するものとした。レポート課題は、①高冷地における持続的農業、②高冷地
 における家畜の飼養管理、③高冷地おける野菜生産、④高冷地における野生生物の生態、⑤高冷地農業の現状と将来、
 ⑥高冷地農業における6次産業化、のうちから2課題選択することとした。

 【2日目】午前中にはキャベツの収穫後のマルチ回収、キャベツの収穫、ヤギの管理を実施。キャベツの収穫作業では、
 出荷のために等級別に箱詰めも実施した。午後からは、近隣の滝沢牧場にて搾乳・バター加工を体験。講義は、動物生
 殖技術の応用に関する内容で行った。

 【3日目】午前中はマルチ回収、キャベツの収穫作業を継続。午後はうどん打ちを行った。講義の内容は、西アフリカの
 作物栽培の限界地における農業とルワンダという国についてである。

 【4日目】野辺山、八ヶ岳の野生生物の調査・観察を実施。国立天文台近くの矢出川公園や当大学の演習林、獅子岩周辺
 において、高冷地の植物を観察。午後1時に課題レポートを提出し、演習全行程を終了した。

8. 成果
8.1. 全体的な評価
 演習全行程において大変満足した8%、満足66%、普通20%、不満6%と、参加者の約7割が満足したことが分かった
 (図1左)。有益さについては、大変有益20%、まあまあ51%、普通29%、という結果だった(図1右)。演習の有
 益さについては、大変有益であると感じた参加者は2割程度であった。

 演習自体の楽しさについて、普段では行うことのない作業を学ぶことができたこと、高冷地農業を知ることができたこ
 と、また参加者同士で協力して作業できたこと、などによると思われる。一方、不満と感じた理由は、農場の外へ自由
 に出ることができないことなど、演習において制限があったことによると思われる。集団行動を行う演習においては、時
 間厳守や行動制限などの様々なルールがある。これまでそのようなルールに則り、行動をする訓練を受けてきた経験が少
 ないこともこのような不満を感じる原因と考えられた。

図1_演習の楽しさと有益さについて.jpg

8.2. 各演習内容について
 キャベツ収穫実習は、約7割の参加者が満足した実習であった(図2)。牧場体験実習は、約8割の参加者が満足と回答し
 た。うどんの加工は、約8割強の参加者が満足した実習だった。野生生物の観察は約6割の参加者が、JA長野八ヶ岳集荷
 場と農家見学については約7割、講義については約6割の参加者が満足したとの結果となった。

 参加者の多くにとって、楽しく有意義と感じたことは、JA長野八ヶ岳集荷場や農家訪問などの現場を見た経験やキャベツ
 の収穫作業の経験を通して高冷地野辺山の高原野菜の出荷の仕組みや問題点、生産者の大変さを実感できたことによると
 思われる。また、牧場での作業やうどん加工の作業も初めての参加者が多く、楽しいと感じる実習になったようである。

 一方で、講義については意見が分かれており、大変実になる内容という参加者もいたが、内容がよくわからなかったため
 不満であったという参加者もいた。

 野生生物の観察は天候に恵まれなかったものの、矢出川公園、国立天文台から見える当大学演習林、獅子岩において植物
 の観察を行った。高冷地という独特な環境下の植物を観察することを目的としたが、あまり関心を持たない参加者もいた
 と考えられ、大いに不満と感じたようである。この実習では、カメラで自分の興味の持った植物を写し、農場に戻って調
 べて同定するといった実習内容であったが、実習内容について十分理解していなかったと考えられた。

図2_各実習・講義への評価のアンケート.jpg

8.3. 演習後、興味関心が増した事
 演習後に関心が増した事柄についての回答結果は、農業と家畜がそれぞれ23%、食料14%高冷地12%、野菜10%、
 環境8%、ない10%となった(図3)。

 演習後に興味関心が増した事が何もなかったと5名の参加者が回答した。理由については無回答であった。

 一方で、家畜や農業といった事柄に関心が増した理由は、JA長野八ヶ岳集荷場や生産者といった現場の方々から現状と高
 冷地農業が抱える問題点を詳細に教えていただいたこと、キャベツ収穫を自身で体験して大変さをわかったこと、日ごろ
 口にしている食料がどのように生産され消費者に届けられているのかを知ることができたこと、今まで知らなかった家畜
 の話などを知ることができたこと、などが主な要因となっていた。

 食料や高冷地に関心を抱いた参加者も上記と同様の理由であった。ただ、環境に関心を抱いたと回答した参加者について
 は、現在、高冷地農業において問題視されている温暖化について関心を抱き始めた様子であった。

 JA長野八ヶ岳集荷場、滝沢牧場の関係者ならびに川上村の生産者の協力により、現状の問題点について参加者に知っても
 らう機会を創ることができた。初めて自身の目で現場を見て、現場の人々の話を直接聞き、それらを糧にして更に詳細に
 知っていきたいという参加者の関心を生み出したことは、この演習の大きな成果であったといえる。

図3_演習後に興味・関心が増大した事柄について.jpg

9. 今後の予定と改善点
 来年度も同様の時期に演習を実施する予定である。

 この高冷地生物生産生態学演習においては、参加者の中に3泊4日の滞在さえすれば、単位を取得できるからという理由で
 参加を希望した場合もあったようである。これは深刻な問題と考えられた。その理由としては、演習という集団行動の実
 習において、本気で実習内容を習得したいと考える参加者の妨げになる可能性が高いためである。ゆえに、来期は事前に
 演習の目的や実習内容について詳細に説明し、参加を希望する理由等について話し合いを行う必要性があるのではないか
 と考えている。

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