信州大学

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金子克美特別特任教授とSanjeev K. Ujjain博士研究員らは国内外の研究者の協力を得て18酸素と16酸素を高効率で分離する方法を開発

2021.02.01

 本研究所の金子克美特別特任教授とSanjeev K. Ujjain博士研究員らは、田中秀樹教授、Yury Gogotsi信州大学特別招へい教授(米Drexel 大学)、Karl Johnson教授(米Pittsburgh 大学)他の協力を得て、癌の早期発見に大きな役割を果たしているPET診断(ポジトロン エミッション トモグラフィ:陽電子放出断層撮影)になくてはならない酸素の同位体、18O2、を、大気中に多量に存在している16O2から、迅速に高効率で分離する新しい方法を発見しました。

天然ガス施設の低温を用いて、1ナノメートルよりも小さな細孔が沢山あるナノ細孔性カーボンに16O2と18O2の混合気体を導入すると、18O2が優先的に吸着されて、効率的に18O2の分離が可能になることを解明しました。

この方法を技術化すると極めて高い18Oを非常に安価に製造できるようになります。18OはPETだけでなく、認知症の研究など先端医療にもなくてはならない物質であり、今後さらなる需要が期待されています。さらに、この手法は炭素の同位体の分離にも応用でき、先端医療に大いに役立つ研究成果です。

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この研究成果はNature Communications 誌に掲載にされました。
Ujjain, S.K., Bagusetty, A., Matsuda, Y. et al. Adsorption separation of heavier isotope gases in subnanometer carbon pores. Nat Commun 12, 546 (2021). https://doi.org/10.1038/s41467-020-20744-6

(右上図 18酸素を優先的に濃縮する係数の時間変化の18酸素濃度依存性)