信州大学

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金子特別特任教授らの研究グループが超高速で水素を分離するグラフェン包接ゼオライトの分離膜を開発

2022.05.20


グラフェンで包接したゼオライトの電子顕微鏡画像

 本研究所金子特別特任教授、R.Kukobat特任助教(現バニャルカ大学所属)、田中秀樹教授、大塚隼人研究員、林卓哉教授を中心に、早稲田大学、ファインセラミックスセンター、米ミシガン大学の協力を得た研究グループは、クリーンエネルギーとして喫緊の必要性の高い水素の精製において、極めて高速で水素を分離できる分離膜を開発しました。

膜分離は省エネルギーのため最も期待されている分離技術ですが、残念ながら省エネルギー技術として成り立つに必要な高速分離ができる分離膜は十分には開発されていません。今回の研究で開発されたグラフェン包接ゼオライト分離膜は従来の分離膜の分離速度の約100程度の高速性を持ちながら、水素/メタン分離係数は200以上という高性能を示します。この分離膜は省エネルギーで水素を分離できますので、クリーンな水素エネルギー社会の構築に大きく貢献できます。また、二酸化炭素の分離性も優れているため、二酸化炭素の省エネ分離技術実現にも有望と期待されます。


今回の研究成果は米国科学振興協会(AAAS)「Science Advances」誌に2022年5月19日に掲載されました。
Radovan Kukobat, Motomu Sakai, Hideki Tanaka, Hayato Otsuka, Fernando Vallejos-Burgos, Christian Lastoskie, Masahiko Matsukata, Yukichi Sasaki, Kaname Yoshida, Takuya Hayashi, Katsumi Kaneko, Ultrapermeable 2D-channeled graphene-wrapped zeolite molecular sieving membranes for hydrogen separation, Science Advances, 2022, 8, 3521, 1-11.


またJSTの海外向けサイトで紹介されました。

Science Japan(英語版)

客観日本(中国語版)


研究の詳細はResearchDetails.pdf

IMAGE CREDIT: COPY RIGHT@2022 THE AUTHORS, LICENSE 4.0(CC BY-NC)