信州大学

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木村睦教授らの研究グループが3Dプリンターで繊維化した形状記憶繊維を含んたウェアラブルデバイスの開発に成功

2022.03.17

本研究所木村睦教授、繊維学部Manuela L. Kim研究員、Google Nina Sinatra博士、Kelly Dobson博士らの研究グループは、卓上サイズに改造した汎用3Dプリンタで形状記憶高分子を繊維化し、形状記憶繊維を含んたウェアラブルデバイスの開発に成功しました。
天候によってデザインが変わる衣服やインテリアへの応用など、布とITとが連携することにより私たちの生活がより快適に豊かになることが期待されます。

通常、繊維は大型の紡糸設備で製造していますが、今回の研究では3D プリンターのノズルユニットを利用することにより卓上サイズの装置で様々な機能を持つ繊維を少量かつ短時間で得ることができました。有機導電性高分子からなる繊維と編み込むことにより、人間の動きで蓄えられたテキスタイル内の歪みを電圧印加によって解放し、電圧によって布の形状を変えることができるウェアラブルデバイスです。

さらに、ニット編み機のトップメーカーの島精機製作所の協力のもと複数の繊維からなる立体的な編み構造を設計し、形状記憶繊維の動きに合わせ布全体の形状が大きく変化することを報告しました。

デスクトップ紡糸装置とコンピューター横編み機との連携により、設計者の発想によるウェアラブルデバイス試作システムへの展開を今後目指します。


今回の研究成果は、アメリカ化学会「ACS Applied Polymer Materials」誌に2022 年3 月16 日に掲載され、また同誌の表紙として採用されました。
[Manuela Kim, Eugenio Otal, Junko Takizawa, Nina Sinatra, Kelly Dobson, Mutsumi Kimura, All-organic electroactive shape-changing knitted textiles using thermo-programmed shape-memory fibers spun by 3D printing, ACS Applied Polymer Materials 2022 DOI10.1021/acsapm.1c01606]


形状記憶繊維を含むテキスタイルが変形する様子