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低炭素社会に向けたバイオマス燃料製造

地球温暖化対策のためにCO2排出削減が求められる中で、大気中のCO2を固定化して成長するバイオマス資源を用いて化石資源代替を行う取り組みが注目されています。しかし、バイオマス由来の燃料は化石資源と比べて発熱量が低いことが知られています。化学・材料学科の嶋田 五百里 講師は、固体触媒を用いた化学反応を利用することで、バイオマス原料から化石資源と同等の発熱量をもつような高品位燃料を製造する技術を開発しています。従来、この化学反応には高圧水素を用いることが常識でしたが、嶋田講師は原料自身が持つ水素を効率的に利用することで、水素雰囲気を用いない安価な転換プロセスを構築しました。そもそも化石資源は、太古の動植物が地中の熱や圧力によって数億年をかけて変化してできたものと言われています。嶋田講師の取り組む反応は、この数億年の変化をわずか数秒で成し遂げてしまうもののようです。

嶋田講師が着目するバイオマス原料は多岐にわたります。最近は、株式会社ユーグレナ、及び千代田化工建設株式会社との共同研究で、微細藻類の1種であるミドリムシが生産する油脂からガソリン代替燃料を製造することに成功しました。これらの研究が低炭素社会の構築に貢献することが期待されます。

(掲載期間 令和 2年 3・4月)