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ガラス繊維より硬い天然の補強材! "セルロースナノウィスカー"

暗闇で怪しい光を放つ謎の液体 (動画あり:上)。その正体は、植物由来食物繊維のセルロースの微細繊維 "セルロースナノウィスカー" です。植物や海藻、ホヤという動物、ナタデココの中などに、食物繊維の一種であるセルロースが含まれています。セルロースの長い分子が束になって形成している超微細繊維を塩酸や硫酸を使って取り出すと、電子顕微鏡でなければ観察できないような微粒子 (幅10 nm、長さ100 nm;写真中央) を取り出すことができます。このセルロースの微粒子はとても軽いのにその一本の強度はガラス繊維よりも強く、生分解性があります。燃やしても有毒ガスを発生しないので環境負荷を与えず、そのためプラスチックの補強材として世界各国で研究が進められています。化学・材料学科の荒木 潤 准教授は、このセルロース微粒子を抽出する技術、またさまざまな物質の補強のために表面を改質するための、世界最先端の技術を持っています。セルロースに銀の微粒子や高分子鎖を結合して分散性や抗菌性を上げたり、セルロース粒子だけを使って繊維を紡糸する技術を開発したりしています (写真下)。

荒木准教授はセルロース粒子の乾燥粉末を世界で初めて開発し、ベンチャー企業から商品化するだけでなく、他の企業との共同研究も盛んに行っています。

(上) 木材から抽出したナノセルロースの水懸濁液を偏光で観察
(中央) 綿から取り出したセルロース微粒子の電子顕微鏡写真
(下) セルロース微粒子を射出して繊維を紡糸

(掲載期間 平成31年 3・4月)