高分子化学が創る新しい世界

真空ラインで空気に敏感な合成実験中
繊維、プラスチック、ゴム、接着剤... 現在の日常生活は高分子材料に支えられています。一方、原料である石油資源の枯渇や、プラスチックの製造に必要なレアメタル触媒の稀少化、自然界に投棄されたプラスチックが引き起こす環境問題など、解決すべき課題が数多く存在するのも現実です。化学・材料学科の高坂 泰弘 助教は、これらの諸問題の解決を図るとともに、環境応答性やリサイクル性を有する革新的な高分子材料の開発に取り組んでいます。例えば、様々な化学物質と反応して分解するポリエステルを開発しました。この成果は高分子化学最高峰の国際誌 Polymer Chemistryに掲載され、高坂助教は同誌が選出する世界30名の若手研究者にも名を連ねました (こちら)。開発した新材料は低環境負荷なプラスチック、繊維の開発や医療用途への展開が期待されます。
高坂助教は企業との共同研究にも積極的で、イハラニッケイ化学工業(株)との共同研究ではポリエステルの新合成法を開発しました。高温・真空条件を必要とする上にレアメタル触媒を使用しなくてはならない従来の合成法に比べ、不純物が少ない高品質なポリエステルを低エネルギーで合成できるという特徴があるそうです。
(掲載期間 平成30年 5・6月)