消防服は炎から消防士を護る科学の鎧

(左) 消防服を着ているのは若月准教授 (右) 実験には本物の消防士が着用して臨みます
火災の際に私たちの生命や財産を守ってくれる消防士の皆さん。しかし、彼らだってスーパーマンではないのですから、消火活動のためには特別な用具が必要となります。機械・ロボット学科の若月 薫 准教授は、火災という極限熱環境において消防士を護る消防服について研究しています。消防士が長時間の消火活動に従事するためには、消防服や保護具が燃えにくい素材で作られているだけでは不十分であり、消防服内部の熱伝導を正しく把握し、効率的に熱を逃がす構造とすることが重要です。また、可動性を阻害せずに身体と服の間に空隙を設けて身体に伝わる熱を遮断する仕組みについても考えなければなりません。こうした若月先生の研究成果は、溶鉱炉などの高熱となる環境での作業服や宇宙服への応用にも期待されています。
消防士を護る消防服に対する若月先生の研究は、まさかの時のために必要不可欠なものです。しかし、私たちが日頃から火事を起こさないよう注意して、消防士が活躍しないですむようにしたいものです。なお、総務省消防庁がまとめた統計によれば、平成28年に出火件数が最も多かったのは3月だったとのことです。火の元にはどうぞご注意ください。
(掲載期間 平成30年 3・4月)