美しくて快適な衣服

金 炅屋
教員氏名 金 炅屋
職名 准教授
所属 先進繊維・感性工学科
研究分野

繊維工学、衣服工学

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研究紹介

テキスタイル・衣服パターン・製作技術の関係から探る美しくて快適な衣服

消費者が望む機能やデザインを持ち、さらに実際の購入につながる衣服は着心地のよさ、美しさ、格好よさ、エレガントさ、高級感、かわいさなどの感性価値を持っています。また、それは美しくて、物性、機能に優れた衣服材料で作られています。研究室ではこのような美しくて快適な衣服を設計するための方法とは何か、また、そのような衣服のための衣服材料とは何かを繊維工学、衣服学、感性工学的観点から明らかにする研究を行っております。

 

 
衣服作成時に欠かせない芯地の効果に関する研究。(左) 芯地の有無による外観の変化 (左:無芯地、右:有芯地)、ならびに (右) 芯地の有無による着心地の変化 (左:無芯地、右:有芯地)。   縫製・アイロン処理による衣服の立体化のメカニズムに関する研究。同じ布・パターンで製作したジャケットの部位別処理による差。(左) 衿、(中) アームホール、(右) 肩。(上段) 適切な処理有、(下段) 適切な処理無。

 

≪研究から広がる未来≫


芯地を接着した布の物性を接着前の布と芯地の物性から予測する研究、ハイエンド衣服設計技術の分析、外観と着心地に影響する衣服材料・パターン要素とその条件、縫製・アイロン処理による衣服の立体化のメカニズムの研究など、経験に頼ってきた衣服製作方法の原理を明らかにし、工学的体系化を目指した研究を行っています。最終的には美しくて快適な衣服の効率的な設計方法を提案し、消費者が好み・購入する服の生産を目指す産業界の役に立ちたいと思います。

美しく快適な衣服とは?

アパレルのオーダーメードと聞くと高級なイメージがありますが、近年ではデジタル技術の進歩により、以前に比べ廉価で手軽に自分の体型に合った衣服を手にすることが可能になり始めています。ところで、体型にフィットしていれば衣服は美しく見えるのでしょうか?

衣服工学を専門とする先進繊維・感性工学科の金 炅屋 准教授は、着用者の体型 (バストラインの高さ) に合わせて制作された婦人用上衣とそうでない上衣を用意し、どちらが美しく見えるのか調査しました。その結果、着用者のバストトラインの高さに合わせて制作されたものよりも、一定のプロポーションのバストラインで制作されたものの方が美しく、魅力的に見えると多くの人が評価しました。同様の現象はウエストラインや肩幅などにおいても見られるそうで、これらの結果は体型にフィットした衣服が必ずしも美しく見えるとは限らないことを示唆しているようです。このことから、金准教授は着用者の体型を考慮しつつ、美しく見える衣服の設計方法を研究しています。快適さと美しさを兼ね備えた衣服の実現に向けて、研究の進展が期待されます。