微生物が持つ能力の有効利用を目指して
一言コメント | 微生物資源を有効利用するために、細菌の細胞表層が担っている機能の解明や、細菌と動植物との相互作用に関する研究を進めています。 |
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研究紹介
微生物資源の有効利用を目指すアプローチ 〜枯草菌が持つ潜在能力の解明と応用
枯草菌 (納豆菌の類縁菌で産業的にも重要な細菌) は古くから研究されている土壌細菌であり、病原菌から植物を保護したり、有機物の堆肥化や汚水の浄化などに役立っています。また産業面でも、酵素およびビタミン類、抗生物質等の有用物質生産に利用されています。山本研究室では、以前より枯草菌のゲノム解析 (国際共同研究) に携わってきました。現在も、枯草菌が保持している約4,100遺伝子が担っている機能を解明するために、国内外の数多くの研究室と連携しながら、より詳細な研究が進行中です。このような研究を通して、枯草菌を一つの重要な微生物資源ととらえ、その理解を深めるとともに、さらなる活用に向けた取り組みを進めています。
細胞表層を修飾するポリマー成分を変化させた場合、細胞にどのような影響が見られるか、蛍光顕微鏡等で観察。 | 動物細胞の免疫を活性化する枯草菌由来成分の探索も進行中 (左)。微細な変化も見逃さないように電子顕微鏡でも観察 (右)。 |
≪研究から広がる未来≫
山本研究室では、枯草菌が持つ潜在能力を最大限に活用するために、細胞表層を修飾するテイコ酸ポリマーが担っている機能の解明や、分泌タンパク質がどのような機構により正しい位置に局在化されるのか等について研究を進めています。将来的には、類縁細菌が持つ遺伝子資源の有効利用や、病原性細菌の効率的な防除システムの構築等に応用できる技術の開発を目指しています。