五感を科学して製品の付加価値を向上

教員氏名 | 金井 博幸 |
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職名 | 教授 |
所属 | 先進繊維・感性工学科 |
研究分野 | 感覚計測工学、生体機能計測 |
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一言コメント
感覚計測工学・生体機能計測学に基づいて、「製品の優れた特性」がエンドユーザの「心理的印象」および「身体的効果」に及ぼす影響を計測・評価する技術を構築し、評価結果を製品設計に展開することを目指しています。
研究紹介
五感を科学して製品の付加価値を向上
「ハッ」と目が覚めるような黒のスーツを身にまといゴージャスな大人の雰囲気を感じたい。お風呂上がりには「マシュマロ」みたいな肌触りのルームウェアに包まれていたい。金井研究室ではそんな消費者の素直な要求を満たす「幸せのためのもの創り」を実践しています。何本もの細い繊維を束ねて糸を創り、それを経緯に組み合わせて創られた布はテキスタイルと呼ばれ、フィルムや紙と比べてしなやかで強く、軽くて空気をたくさん含む魅力的な素材です。このテキスタイルを消費者の要求に合わせて効率よく創りあげる方法を研究しています。
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布の光反射を測定してヒトが感じる「深み」や「艶やかさ」などの印象を数値化できる装置。布の美しさを数字で評価できる。 | スーツを着たヒトの筋肉の活動 (筋電図) を測ることで、そのスーツがどれだけ動きやすいかを知ることができる。 |
≪研究から広がる未来≫
ユーザフレンドリを満足させるものづくりの方法論を実現するためには、人間の心理、生理反応を計測し数値化して、消費者のニーズを正確に把握することから始めます。まさに「ヒトを測ってそのヒトを知る」のです。この技術を応用すれば、宇宙飛行士や消防士など危険な作業をともなうヒトの状態を知ったり、心地よい香りをかぐことでどのくらいリラックス効果が得られたかを知ることもできるのです。
熱中症リスク管理を実現するウェア「スマートフィットR」
真夏日や熱帯夜となる日数が増加傾向にある近年では、熱中症は高齢者や労働者において深刻な問題となっています。一般的に、熱中症のリスクは暑さ指数 (WBGT) により予測・評価されていますが、先進繊維・感性工学科の金井 博幸 准教授はクラボウ、大阪大学、日本気象協会と共同で熱中症のリスクを管理する衣服「スマートフィットR」の開発に取り組んでいます。スマートフィットRは、衣服と一体化したウェアラブル・センサーにより皮膚温度や心拍数などの生体情報を計測し、取得した生体情報から熱中症のリスクを予測・警告するシステムを目指しています。その中で、金井准教授は主にウェアラブル・センサーの高精度化と快適性の向上に取り組んでいます。
既にウェアラブル・センサーの試作は終了しており、今年の6月から建設業・運送業の協力を得て作業者を対象にした実証実験が行われる予定です。本テーマに対する社会的注目度は高く、平成29年3月24日付けの信濃毎日新聞 (第1面) に紹介記事が掲載されました。金井准教授の今後の実用化へ向けた取り組みに大きな期待が寄せられています。
(掲載期間 平成29年 5・6月)