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大学院総合理工学研究科生命医工学専攻の八木澤憧子さん(M2)が日本植物病理学会関東部会において学生優秀発表賞を受賞

研究

八木澤 憧子(やぎさわ とうこ)さん
八木澤 憧子(やぎさわ とうこ)さん
賞状
賞状

2026年9月10日~11日に明治大学(生田キャンパス)で開催された日本植物病理学会関東部会において、微生物植物相互作用学研究室の八木澤憧子さん(修士課程2年)が口頭発表を行い、「学生優秀発表賞」を受賞しました(受賞日:9月25日)。

植物病原糸状菌である炭疽病菌(Colletotrichum属菌)群の植物侵入様式は、菌糸の先端に形成した感染器官(付着器)をメラニン化させて侵入する1パターンとして長年にわたり定説化していました。しかし最近、同研究室は、メラニン化に依存せず付着器侵入する炭疽病菌グループの発見と、糖などの環境シグナルを受けて付着器を形成せずに菌糸の先端から直接侵入する複数の炭疽病菌の再発見を通して定説を覆しました。現在、本菌群の植物侵入様式が多様化し、環境に応じて使い分ける巧みな感染戦略をとっているという新説を提唱しています。興味深いことに、付着器を形成しない菌糸先端侵入は侵入タイミングが非常に早く、植物への侵入力も高いことがわかっています。本研究では、付着器侵入と菌糸先端侵入の特性の違いを探るため、炭疽病菌に各侵入様式を誘導した際に発現する遺伝子を網羅的に解析し、比較しました。その結果、菌糸先端侵入が起こり始める早いタイミングにおいて、細胞壁分解酵素や二次代謝産物の生合成関連遺伝子の発現パターンは、両様式間で比較的類似していました。一方、ペルオキシソームを分解するペキソファジー(オートファジーの一種)に関与するATG26などの細胞内分解系遺伝子の発現が菌糸先端侵入で上昇していました。ウリ類炭疽病菌の付着器侵入においては、付着器内のATG26依存的ペキソファジーがもっと遅いタイミングで起こり、侵入に必須と報告されています。このことから、菌糸先端侵入では、植物侵入に関連する炭疽病菌細胞内のイベントがより早い段階で起こっていることが示唆されました。今後、取得した網羅的遺伝子発現データをより詳細に解析することで両侵入様式の特性の違いを生む要因が明らかになれば、これまでにない角度から炭疽病菌群の植物感染戦略の理解が進むと期待されます。
今回の受賞は、炭疽病菌群の侵入様式多様化と環境に応じた侵入モード選択の意義を解明すべく遺伝子発現を網羅的に解析し、より早い菌糸先端侵入では侵入に必要な細胞内イベントが繰り上がって起こる可能性を見出した点が評価されました。

受賞演題は以下のとおりです。

「炭疽病菌のシロイヌナズナに対する付着器侵入と菌糸先端侵入の遺伝子発現比較」
〇八木澤憧子 1、大澤武留 1、谷純花 2、赤羽優乃香 1、久米紘生 1、入枝泰樹 3
(1信州大学大学院総合理工学研究科,2信州大学農学部,3信州大学学術研究院(農学系))

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