令和6年度「森林利用デザイン演習」を実施しました
1.演習名
「森林利用デザイン演習」
2.目的
本演習では、将来までを見通した主間伐を実行するための一連の作業を、実践的に学ぶ。林分調査とそれを基にした将来の主間伐計画の立案や、林業機械を用いた伐倒木の集材・造材・はい積みを、受講者が実際に経験することで、主間伐における一連の森林管理・素材生産技術を身につける。
3.特色
本演習では、伐採から造材に至るまで、素材生産における一連の工程を連続的に体感可能な構成がとられている。手良沢山ステーションでは林業機械製作メーカーの実務担当者による講義と操作指導が、最終日には地元の素材生産企業の現場見学と現地講義が盛り込まれている。これにより、受講者は実際の作業現場さながらの環境下における各作業工程を実践・体感したうえで、各工程間で連携した、組織化された実際の素材生産作業を学ぶ。さらに、様々な林業機械製作メーカーの担当者による講義や、ハーベスタシミュレータの体験により、最新の林業機械や関連技術を体験的に知ることができる。
4.実習が掲げるSDGsの目標
目標8[経済成長と雇用]、目標9[インフラ、産業化、イノベーション]、目標7[エネルギー]、目標13[気候変動]、目標15[陸上資源]
5.実施日
令和6年9月3日(火)~9月6日(金)
6.実施場所
農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
手良沢山ステーション
7.担当スタッフ
植木達人名誉教授、小林 元准教授、守口 海准教授、宮本裕美子助手、木下 渉技術職員、野溝幸雄技術職員、TA 4名
8.協力企業
イワフジ工業株式会社、株式会社前田製作所、根羽村森林組合、根羽村役場、日立建機日本株式会社、平澤林産有限会社
9.参加人数(受講者数)
15名
10.スケジュール概略
1日目: 林分調査および将来の主間伐計画の立案
2日目: 集材・造材・はい積み作業に関する講義・実習
3日目: 2日目と同様
4日目: 油圧式集材機に関する講義・実習、薪割り体験、地元の素材生産企業の現場見学
11.実施状況概要
天候にも恵まれ、実習工程は予定通り実行できた。
【1日目】
午前中には演習全体のガイダンスと林分調査の説明講義の後、4班に分かれて林分調査を行った。午後の後半には調査結果をもとにして、密度指標等の算出および当該林分における経営方針の策定を班ごとに行った。
【2日目】
午前は日立建機・イワフジ工業の実務担当者による、企業の概略説明や最新の林業機械に関する講義を聴講した。午後は①スイングヤーダによる集材、②ハーベスタによる造材、③チェーンソーを用いた手造材、④グラップルを用いたはい積み、の4工程に分かれ、各班はそのうち2つの工程を体験した。また、食堂には日立建機のハーベスタシミュレータが設置され、各受講者は夕食後に各々操作を体験した。
【3日目】
2日目に引き続き、各班は残りの2工程を体験した。
【4日目】
午前は前田製作所の担当者による油圧式集材機の講義、演習林内に設置された油圧式集材機の操作指導と現地講義が行われた。また、薪割り斧・薪割り機およびチェーンソー(玉切り用)を用いた薪割り体験を行った。午後は根羽村へ移動し、根羽村森林組合および平澤林産による現場見学と現地講義が行われた。
12.今後の展望と課題
受講者アンケートでは、実際に収穫作業や関連した機械操作を体験することで、林業の現況課題や林業機械の将来性への関心が増大したという感想が多く見られた。民間企業(機械メーカー)の担当者との会話や実際の素材生産の現場を見ることで新しいことを感じる・考える良い機会にもなったようで、概ね高評価を得た。スケジュールや施設に関連した要望等もあったため、参考意見として考慮し、プログラムの改善につなげていきたい。