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令和5年度「木材工学演習」を実施しました

お知らせ演習林系の実習

製材機の説明(1日目)
製材機の説明(1日目)
自動かんな盤加工(1日目)
自動かんな盤加工(1日目)
スライド丸鋸を用いた加工(2日目)
スライド丸鋸を用いた加工(2日目)
鋸を用いた加工(2日目)
鋸を用いた加工(2日目)
鑿を用いた加工(2日目)
鑿を用いた加工(2日目)
電動工具を用いた仕上げ(3日目)
電動工具を用いた仕上げ(3日目)
脚部の組み立て(3日目)
脚部の組み立て(3日目)
座面の取り付け(3日目)
座面の取り付け(3日目)
塗装作業(4日目)
塗装作業(4日目)
完成したベンチ(4日目)
完成したベンチ(4日目)

1.演習名
「木材工学演習」

2.実習目的
各種の木材加工の道具・機械を用いて演習林のヒノキ間伐材を加工し,一定の構造物(ベンチ)を作製する。そして,基礎的な木材加工技術を修得するとともに,樹木が生命活動によって生産する生物材料である木材の構造と性質について理解することを目指す。

3.実施日
令和5年8月29日(火)~9月1日(金)

4.実施場所
農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)
構内ステーション

5.担当教職員
細尾佳宏准教授,末定拓時助教,小林 元准教授,宮本裕美子助手

6.参加人数
6名

7.概要
【1日目】
初めに開講式を行った後,安全講習を行った。続いて,木材の構造と性質についての講義を行った後,製材機を使用した製材デモンストレーションを行った。その中で,材の完満度,歩留りなど,演習で使用する丸太について説明を行った。次に,木工機械の説明を行った後,過去の受講生が作製したベンチを見学した。そして,必要に応じてベンチの採寸を行うことにより,受講生自身が作製するベンチの構想の検討を行った。その後,あらかじめ製材・皮むきされたヒノキ心持ち正角材の自動かんな盤加工を行い,加工を行った正角材を使用してベンチを作製することとした。そして,作成するベンチの図面を作成し,1日目の演習を終了した。

【2日目】
まず,1日目に引き続き正角材の自動かんな盤加工を行い,並行して同じく1日目に作成したベンチの図面をもとに木取図を作成した。次に,作成した木取図を用いて座面,脚部,背もたれなどの各部材の木取作業を行った。続いて,スライド丸鋸の説明を行い,実際にそれを使用して正角材を各部材に切り分けた。その後,手道具の説明を行い,鋸,鑿を用いて仕口の加工および調整を行った。そして,脚部と座面の仮組を行い,2日目の演習を終了した。

【3日目】
まず,電動工具の説明を行った。そして,ランダムサンダー,ミニサンダーで各部材の仕上げを行うとともに,必要に応じてディスクグラインダーで加工を行った。その後,インパクトドライバー,木工用ドリル,下穴錐,コーススレッドなどを用いて脚部の組み立てを行い,続いて脚部に座面を取り付けた。次に,背もたれ部材の加工を行い,取り付け作業まで行った。そして,接地した際のがたつきの確認と修正を行い,3日目の演習を終了した。3日目にしてほぼ完成形ができ,良好な進行状況となった。

【4日目】
3日目に引き続き,ランダムサンダー,ミニサンダーを用いて仕上げ作業を行った。続いて,塗装工程の説明を行い,コンプレッサーでベンチの埃を吹き飛ばした後に塗装作業を行った。塗料には屋外用木部保護塗料を用い,塗装は刷毛塗りで行った。塗装作業終了後,加工で生じた端材を用いて小物作製を行った。最後に,授業アンケートおよび閉講式を実施し,演習の全日程を終了した。

8.感想・今後の展望と課題
受講生6名とも最後まで熱心に演習に取り組み,作業中に体調不良になることも怪我をすることもなく演習を終えることができた。授業アンケートでは,「各講義・実習の評価」の6項目全てで6名とも「大変満足」または「満足」と回答した。「製材から木取図を設計し最後の仕上げまで一通りできる貴重な経験だった」,「木材を加工するのは初めてで,とても面白くて,特別な体験だった」,「指導が丁寧でわかりやすかった」などの好意的な意見が多く挙げられ,受講生にとって有意義な演習であったことが伺われた。一方,「演習の内容,指導等についての要望,改善点」については,「手袋を使う場面がよくわからなかった」,「塗装の際に小さい筆がもう1本あると,座面の隙間が効率よく塗れると思った」との指摘があった。これらの指摘を参考にして演習内容の検証・見直しを行い,演習の質的改善・向上に努めたることが必要と思われる。

昨年度までは丸太を太鼓材に製材してベンチを作製していたが,今年度は正角材に製材したものを用いてベンチを作製した。正角材は太鼓材よりも自動かんな盤加工に時間を要したが,材に曲面がなくなったことでスライド丸鋸による加工が容易になり,仕上げ作業もほとんど電動工具のみで行うことができた。そのため,自動かんな盤加工以降の作業時間が短縮され,結果的に演習時間内に塗装まで行うことができた。来年度も,正角材を用いて演習を行うことは選択肢の一つとして考えられる。

今年度は,昨年度よりも多い6名が受講した。来年度も継続して受講生を確保するためには,引き続き農学系・森林系の学部・学科を持つ大学へ精力的に広報を行っていくことが必要である。さらに,農学系・森林系だけでなく,工学系・建築系の学生,さらには文系の学生への広報も必要になると思われる。広報の幅を広げ,より広い分野の学生に本演習を認知してもらうことにより,興味を持つ学生の増加につながることが期待される。

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