平成27年度公開森林実習「山岳環境保全学演習」を実施しました。
<実習目的>
山岳環境保全に必要な基礎知識と技術を、西駒ステーションから西駒ヶ岳(木曽駒ヶ岳:標高1,250m~2,956m)をフィールドとして集中実習により習得する。
1. 氷食地形など日本アルプスの高山環境の成り立ちについて学ぶ。
2. 代表的な高山植物の観察を行い、希少な高山植物群落の保全について学ぶ。
3. 高山帯から亜高山帯を経て山地帯までの、植物の垂直分布帯を踏査し、信州の自然の多様性について体感する。
4. 高山環境に生息する昆虫類や鳥類の観察、野生動物のフィールドサインの識別方法など、フィールドワークの基礎を学ぶ。
5. コンパスを使用した地図の読みや、変化が激しい山岳気象への対処など、登山の基礎知識を学ぶ。
6. 山小屋で宿泊し、し尿処理、ゴミ処理などの山岳環境保全のための対処方法を学ぶ。
7. 登山を通したフィールドワークの実践から、チームワークの重要性について学ぶ。
<実施日程>
平成27年8月31日(火)~9月3日(金) 3泊4日
<実施場所>
農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター(AFC)西駒ステーション
<担当教員、講師>
泉山茂之教授、朝日克彦助教
<参加人数>
18名
信州大学12名(農学部8名、工学部3名、理学部1名)、山形大学1名、お茶の水女子大学1名、帯広畜産大学2名、静岡大学2名
<実習スケジュール>
初日
農学部構内において、ガイダンスとフィールド調査の準備を行った。続いて、高山植物の生活史と保護、野生動物の生態と保護管理についての講義を受けた。
2日目
バスとロープウェイを利用し千畳敷カールへ移動した後、木曽駒ヶ岳を、宿泊施設である西駒山荘まで登山した。登山中に、氷食地形などの高山環境の成り立ちを学び、高山植物の同定や野生動物の観察を行った。
3日目
西駒ステーションでの実地踏査、観察を行いながら、桂小場試験地学生宿舎まで下山した。
4日日
宿舎にて調査結果の取りまとめ、解析とグループでのディスカッションを行った。
<成果と今後>
本実習では、野生生物を対象にした山岳環境保全について理解を深めることを目的とし、日本アルプスという実際の現場において、初歩の種同定から、フィールドワークの実践、記録から取りまとめまでを一貫して実施した。受講生にとって本実習は、自身が体感し得られたデータから、何が読み取れ、これから私たちにとって何が必要であるかを考える絶好の機会になったものと思われる。