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企画展関連資料:牧野富太郎 書簡 1918(大正7)年1月16日

2023.07.28  [ お知らせ ]   [ 資料のご紹介 ] 
 2022年度秋季企画展「明治・大正期 信濃博物学の夜明けと長野県師範学校-矢澤米三郎とライチョウ標本を中心に-」でご紹介した矢澤米三郎は、「日本の植物学の父」といわれる牧野富太郎とも交流がありました。

 1918(大正7)年1月、牧野富太郎は矢澤米三郎に対し、高山地帯に生息する多年草・タカネマンテマの標本を持っていたらいただけないかと相談しました。

 
(Web展示:「明治・大正期 信濃博物学の夜明けと長野県師範学校-矢澤米三郎とライチョウ標本を中心に-」p.70より)

 これを受けて、矢澤が、自身の教え子であり、日本における最初のタカネマンテマ採集者でもある岡田邦松を紹介したと見られます。
 ほどなく牧野から岡田へ、標本借用と、牧野による解説文執筆の許諾を求める書簡が届きました。

  


 はがき
 牧野富太郎から岡田邦松へ
 1918(大正7)年1月16日
 諏訪市博物館 蔵

御ハガキ拝見仕候、然れば彼のタカネマンテマ誠ニ
申兼ね候へども、其標品一週間位御貸与被下
間敷、私用すみ候へば早速御返上申上べく
候、実ハ其記載文を発表致し度それ故
其標品を見度と存候、御許容被下候へば至急の書留
小包便ニて御送附相願度、用スミ次第又書
留小包便にて御返送申上べく候、右御許し被下候へば
大幸の至に存候、右御相談申上候   一月十六日

(訳)
お葉書拝見しました そんなわけでかのタカネマンテマ誠に
申上げにくいことですが、その標本を一週間ほどお貸しくだされ(ませんか) 
私用が済みましたら早速お返しいたします 
実はその解説文を発表したいので、
標本を見たいと思います お許しいただけましたら
至急の書留小包便でお送りいただけますでしょうか 
用が済み次第書留小包便にてお返しいたします 
以上のことおゆるしいただけましたらたいへんありがたく思います 
右ご相談します 
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 その後の詳細な経緯は調査中ですが、「牧野標本館タイプ標本データベース」に、1914(大正3)年8月・河野齢蔵採集としてタカネマンテマが収録されています。
 

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