2024年10月22日,カナダ・カルガリー大学 地球・エネルギー・環境学部の林 正貴 (Masaki Hayashi) 教授を講師にお迎えし,「Alpine Hydrogeology: The Critical Role of Groundwater in Sourcing the Headwaters of the World」というタイトルでセミナーを開催しました.このセミナーでは,山岳源流域における地下水が水資源供給に対して極めて重要な役割をしていることについて,多様な視点から議論されました.
山岳地域の源流域は,かつて「テフロン域」と呼ばれ,地下水を貯留する機能がほとんどないと考えられていました.急峻な地形や薄い土壌,植生が少ないことから,このような理解が長らく一般的でした.しかし,世界各地を対象とした現地調査により,山岳地域の水循環における地下水の重要性が明らかになりつつあります.林教授は,特にカナディアンロッキーや欧州アルプスなどに存在する重要な帯水層について紹介し,「山岳域の帯水層は,雪解け水や降水を一時的に貯留し,乾燥期や寒冷期に徐々に水を放出する役割を果たしており,この持続的な水供給は,下流域の水資源や水生生物の生息環境にとって極めて重要となる」と指摘しました.特にカルガリー地域に水を供給するBow川の源流域では,崖錐等に加え,岩石氷河やモレーンなどの周氷河地形が,帯水層として機能していることが示されました.
講演の中で林教授は,地質構造や水文環境が異なる他の山岳域でも,地下水の動きや役割には共通する特徴が見られることを指摘し,今後の水資源管理や生態系保全において山岳の重要性を強調しました.
講演後の質疑応答は,学生や教員から,質問が止まることなく,40分間のディスカッションの時間はあっという間に過ぎてしまいました.参加者から山岳地下水の滞留時間やその推定法,気候変動の影響,カナダと日本の大学の違いなどについて多くの質問が寄せられました.特に,今後予測される気温上昇や氷河の後退が,山岳域の水涵養・流出にどのような影響を与えるかについて,活発な議論が交わされました.
今回のセミナーは,山岳に関心を持つ多くの学生や教員にとって,貴重な機会となりました.水文地質学を含む,多様な学問分野において,山岳を対象とする研究で,国際連携や学際的研究の推進の必要性を共有しました.
オンライン参加者も含め約40名と多くの学生に聴講していただきました。
講演の中で林教授は,地質構造や水文環境が異なる他の山岳域でも,地下水の動きや役割には共通する特徴が見られることを指摘し,今後の水資源管理や生態系保全において山岳の重要性を強調しました.
講演後の質疑応答は,学生や教員から,質問が止まることなく,40分間のディスカッションの時間はあっという間に過ぎてしまいました.参加者から山岳地下水の滞留時間やその推定法,気候変動の影響,カナダと日本の大学の違いなどについて多くの質問が寄せられました.特に,今後予測される気温上昇や氷河の後退が,山岳域の水涵養・流出にどのような影響を与えるかについて,活発な議論が交わされました.
今回のセミナーは,山岳に関心を持つ多くの学生や教員にとって,貴重な機会となりました.水文地質学を含む,多様な学問分野において,山岳を対象とする研究で,国際連携や学際的研究の推進の必要性を共有しました.
オンライン参加者も含め約40名と多くの学生に聴講していただきました。