バイオメディカル研究所の能勢博教授、増木静江准教授らの研究グループは、運動を習慣化できるかどうかに、血圧の調節を担う遺伝子が関与していることを突き止め、米国生理学会の学会誌に発表しました (J Appl Physiol 118, 595-603, 2015)。この遺伝子に特定の型を持っている人は、運動が長続きしない傾向があり、将来的にこの遺伝子情報を活用すれば、定期的に別のトレーニングを挟んで趣向を変える、といった個別運動指導が可能になります。

同グループは、ゆっくり歩きと速歩を3分ずつ交互に繰り返す運動法「インターバル速歩」を開発しました。今回は、この速歩を習慣化するためには、何が重要かを調べようと、696人(男性196人、女性500人)を対象に、22ヶ月間にわたり、1日15分以上の速歩を週4日以上行うことを目標に取り組んでもらいました。
その結果、血圧調節に関わる「バゾプレッシンV1a受容体」の遺伝子を構成するDNAに特定の2種類の型を併せ持つ人は、男性の15%を占め、この人達は運動が長続きしない傾向が判明しました。実際、「動こう」と思った時、筋肉への血流を増やして動きやすくするため、血圧を上げる指示が脳から出ますが、この型を併せ持つと血圧がうまく上がらず運動を続けられないのではないかと推測されます。

同グループは今後、女性の運動継続に関わる遺伝子についても研究を進める計画です。

J Appl Physiol 118, 595-603, 2015