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動物の実験で『バイオ=エンジニアリング』を考える

「『生きもの』と『モノ』はどこが違うのか」とは超難問だが、直感的にはわかっている。」それは本当だろうか? 我々は路傍の石を無情に蹴り上げ、転んだ隣人に慈悲をもって手を差し伸べる。それは本当か? 当研究室では、動物の本能行動を観察するとき、どうしても見えてしまう余計な行動がどのような意義をもつのかを、実験を通して探ることで、直感的といわれる「本能=適応的、余計=非適応的」という見取り図を書き換える努力をしています。その努力は、「バイオ(ロジー)=エンジニアリング」という見取り図を作り、バイオエンジニアリングを縁の下から支えます。

 

 
オカダンゴムシの研究。著書:森山徹、ダンゴムシに心はあるのか、PHP研究所、2011。   オオグソクムシの研究。論文:Matsui T, Moriyama T, Kato R, Zoological Science。

 

≪研究から広がる未来≫


10年前の研究対象はダンゴムシだけでしたが、今では深海数百メートルにすむオオグソクムシの心理学や、西表島にすむミナミコメツキガニとロボットの社会形成などに取り組んでいます。おかげで、学会活動も、動物行動学だけではなく、認知科学やロボット学へと広がっています。最近では、心理学の催しで話題提供を求められ緊張しましたが、ビジネス雑誌のインタビューを受けたときは、掲載して大丈夫? と思いました。